口元の高齢化・オーラルフレイル

皆様お元気ですか?

コロナやウクライナ情勢など暗い話題が多いですが、春はすぐそこまで来ています!元気に過ごしていきましょう!

前回のブログの続きです。

健康寿命の低下は口元の老化から

高齢になると健康でいるためにはお口の機能が非常に重要であることがわかってきました。

人は生まれてまず息をすることを獲得して、次に飲み込むこと、最後に食べることを獲得しますが、亡くなるときは逆に食べられなくなり、飲み込めなくなり、最後に呼吸ができなくなります。

年齢を重ねるとすべての人が体の機能が徐々に衰えていきます。これをフレイル(虚弱)と呼んでいます。ふつうに歩けていたのが、歩けなくなって車いす生活になり、やがて寝たきりになっていきます。

日本人の寿命は年々伸びて良いことなのですが、医療費の負担増加につながり、平均寿命より健康寿命を重視するようになりました。

いかにフレイルの進行を食い止めるかなのですが、実はフレイルは口元から始まります。

例えばいままで何ともなかったのが食べこぼすようになったとか、ささいな口元の変化(衰え)から始まるのがわかってきました。

これをオーラルフレイルと呼んでいます。

そのほかは活舌の低下、わずかなむせ、噛めない食品が増える、口の乾燥など些細なことから始まるのが特徴です。このまま放置すると食べられる食品の種類が減り、食欲もなくなっていきます。

口の中の筋トレで機能回復

ここでどうするかなのですが、衰えたところを鍛えることで機能回復することができます。口の中の筋トレです。

まず、どこの機能が落ちているか検査しなければなりません。セルフチェックや問診である程度分かってきます。

検査は

①口腔衛生状態不良

②口腔乾燥

③咬合力低下

④舌口唇運動機能低下

⑤低舌圧

⑥咀嚼機能低下

⑦嚥下機能低下

の7項目です。

この検査で衰えが認められた項目に対して指導や訓練を行い、回復を目指していきます。

このまま見過ごして放置すると、オーラルフレイルは次の段階へ進んでしまいます。

口の機能低下という段階です。口腔の不潔・乾燥、咬合力の低下、口唇・舌の機能低下、咀嚼機能・嚥下機能低下となり低栄養、サルコペニア(筋肉量が減少する状態)に移行して歩くことが困難となります。

オーラルフレイルを放置し続けると・・・

ここまでの段階まで来ると歯科による口の機能を回復させる治療が必要です。

噛むところがなければ、入れ歯や冠、ブリッジを入れて噛むところを作らなければなりません。痛いところを取り除いて、歯と歯茎を丈夫にし、しっかり噛めるように調節していかなければなりません。

入れ歯を正しく合わせることが非常に重要になります。良い入れ歯を入れただけで立てるようになることがあります。

認知症の予防、進行防止にもおいしく食べられるようになることが大切です。栄養をとり体の機能を維持すること、食べる楽しみを味わっていただき生きる素晴らしさを感じていただくこと、脳も活性化させて老化を防止することに大きな役割を果たします。

口のトラブルと社会生活の関係

さらに深堀すると口の些細なトラブルが発生する以前にいわゆる社会的フレイル、精神心理的フレイルという心理的なフレイル状態になり社会に出たり、人前に出ることを控える行動をとることからフレイルが始まることがあります。

例えば多数の歯を失って入れ歯を入れてみたが合わなくて入れなくなってしまったらしわだらけの顔貌になり、うまくしゃべれなくなり、うまく食べられなかったりすることで人前に出る意欲が失われる場合があります。

正しく機能回復できる入れ歯を入れることで容姿と咀嚼、会話の機能を回復させ栄養、身体活動、社会参加の手助けになります。

このようにオーラルフレイルは見過ごせない問題です。健常な人と比較するとオーラルフレイルの人は4年後に身体的フレイル、サルコペニア、要介護状態(3以上)、死亡に移行する確率は2~2.5倍だそうです。

まとめ

まとめといたしまして、これからは健康寿命が重要です。それを伸ばすための3つの柱としまして栄養(食・口腔機能)、身体活動(運動・社会活動)、社会参加(勤労、余暇活動、ボランティア)があり、それを可能にするために認知症とフレイルの予防が重要で、オーラルフレイルなど歯科の領域がかなりかかわっています。

私たち歯科医院でできることがたくさんありますので是非利用していただだき、貢献できればうれしいです。