札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。
皆様まだ寒い日が続きますが、いかがお過ごしですか?
口唇が乾燥して唇が切れてしまう方が多い時期ですので唇の保湿には注意しましょう。
さて、歯は使うことで正常に機能していき、成長期のお子様では、お顔の形を作る上顎骨、下顎骨、歯槽骨の成長に影響を与えていきます。適正な噛むことによる歯を通して伝わる力の刺激が骨の発育を促し、美しい顔貌を作り出し、歯槽骨を成長させ、歯並びを正しく並べる空間を作り上げます。
よく噛まない子は骨の成長が不足して上顎骨の劣成長でメリハリのない顔貌になったり歯の根元が引っ込んで相対的に出っ歯に見えたりします。15歳くらいまでに改善しないともう骨は成長しないので骨の問題は治すことができません。成長期のお子様にはよく噛んで食べることを強く推奨します。
しかし、大人では必ずしも当てはまりません。成長発育は終わっています。何事もそうですが、やりすぎるとかえって害となります。
過剰な力は歯が割れたり、急性的な偶発症を引き起こします。強すぎる力や、方向が誤った力も繰り返しかかると歯が欠けたり、すり減ったり、詰め物がとれたり、歯がしみるようになります。歯を支える周りの組織も影響を受け、疲労したり、歯周病の進行を急激に進めたりする悪影響があります。歯ぎしりもこれにあたります。
また、歯に亀裂が入ることもあり、これはレントゲンにも映らず噛んだ時の痛みやしみたり、腫れたりして原因不明のまま歯髄炎へ移行してからわかることもあります。
軽い力でも回数が多かったり、時間が長かったりすると悪影響を与えます。
これを日常的にしてしまう場合TCHとなります。
TCHがあると、力がかかっているところはだんだん疲労していきます。疲労すると正しい円滑な動きが困難になりますね。また長く正座をすると足がしびれるのと同じように筋肉がしびれてきます。感覚がおかしくなりますね。また、力がかかって圧迫されると血行が悪くなり、歯の周りの組織の感覚がおかしくなります。これが原因不明の違和感となって訴えてくるケースが多いと思います。歯も物理的なダメージを受け続けるのでひびや亀裂が入ったりする原因にもなります。
TCHで一番影響があるのは顔の周りでしょう。あごの周りの筋肉が疲労するので顎関節症を発症したり、側頭筋の疲労で緊張性の頭痛に、側頸部筋の疲労で首のこり、僧帽筋の疲労で肩こりが発症します。
また、TCHは口腔の周りだけでなく、全身にも悪影響を与えます。
TCHで歯を噛み合わせることで筋肉が緊張して、精神的緊張を招き、それが交感神経を緊張させ、全身の緊張を招きます。それが続くと全身の中のその人の弱い部分に血流不足が起きその部分に影響を与えます。例えば腰の弱いい人では腰痛が発症することがあります。
このようにTCHは様々な悪影響を与えますが、本人はわかりにくいためまず、気が付くことが大事です。鏡で口の中をのぞいて頬っぺたの粘膜や舌に歯型が付いていないでしょうか。ついていたらTCHを疑ってください。
また、ふと気が付いたときに歯と歯をくっつけていないかを確認してください。くっついているようならTCHの可能性があります。
今度は唇を閉じて歯を浮かせるということを自分に命じてやってみてください。違和感を感じたり、歯を離しておくのが辛く感じるようでしたらTCHが濃厚です。
では、どうしたらやめられるでしょうか。
意識してやめようとしてもうまくいきません。
噛み合わせてしまったら反射的に離すようにしていき、無意識下で歯と歯を離すことができるようになればTCHの習慣を是正することができます。
簡単な方法として大きめの付箋を最低でも10枚(どこを見ても目に付くように)“歯と歯を離す”、“リラックス”、“力を抜く”など言葉でも絵でも良いので同じ言葉や絵を記入して同じ色で揃えて家中に貼って、そのことを覚えていないようにしてください。
付箋が見えたときにその習慣に1回だけ脱力してください。
具体的な例として、張り紙を見たら噛みしめながら鼻から息を大きく吸い込みそれに合わせて両肩を持ちあげましょう。
そして口を開き口から一気に息を吐きだしながら肩を落としましょう。あっと声を出しても良いです。これは張り紙を見た瞬間に1回だけ行ってください。
このように深呼吸して息を吐きだすと意識しないで自動的に歯と歯を離すことができます。
簡単ですのでどうぞやってみてくださいね。