歯科検診を受けていますか?

みなさんお元気ですか?夏休み真っ盛りですね。

皆さんは歯科検診を受けていますか?夏休み中のお子さんやお仕事の休みでお時間のある方は歯科検診をお勧めします。しばらく歯医者へ行っていない方は是非行って歯科検診を受けて異常がないかどうか、たまった汚れや着色の除去をしてもらいましょう。

 

そもそも、なぜ歯科検診は必要なのでしょうか。

歯科はその特殊性から予防や早期治療がとても重要です。

なぜなら、歯は硬組織なので一度虫歯菌にかかり虫歯を発症して歯に穴が開くと自然治癒せずに元に戻りません。放置すると虫歯の進行と停止を繰り返しながら確実に歯が失われていきます。早期の治療と予防が不可欠です

また、歯を支える部分も特殊な構造で歯を硬組織である骨と軟組織である歯の根(歯根)をつなぐ歯周靭帯、歯根膜、歯肉から成り立ちますが、こちらもこれらを破壊する歯周病菌が存在して悪さをします。こちらも成人の80%がかかり、かなり進行しないと痛みのような放置できない症状が出現しなく、治りずらいので厄介です。

さらに口腔は食べ物を咬み砕いて飲み込む働きや、咬合を介して全身に力を伝える働きや、舌を使って言葉を発生する働きもあります。

そのためかみ合わせや歯にかかる力を調整してコントロールすることがとても重要になります。舌も汚れると口臭の原因にもなり、唾液の分泌のチェックや舌の動きを良くしたり唾液を分泌させる訓練も重要です。

 

昔は歯科の分野が全身に与える影響についてあまり理解されていなかったのですが、最近の研究から、あらゆる病気をドミノのように並べると図のように口腔内の疾患はドミノの上流にあります。医科の病気は下流にあたり、上流からドミノが倒れてしまうとドミノ倒しが早期から始まり急速に下流までドミノ倒しが到達してしまい、医科の病気を発症してしまう可能性が高まってしまいます。上流の病気は虫歯や歯周病を指し、口腔内の細菌叢が悪いと全身にその影響が広がってしまい、これをメタボリックドミノと言います。できるだけドミノの上流でドミノ倒しをとめることが重要です。

 

では、具体的に定期検診を受けるメリットと受けないデメリットについて解説いたしましょう。

まず、口腔内は自分で十分に確認することができません。自分でみえるところは限られており、歯の内部や歯の骨の状態はレントゲンを撮らないとわかりません。

そしてすぐ治療する必要があるかどうかも自分では判断できません。

歯科で検診を定期的に受けるには時間とお金がかかりますので、受けるメリットと受けないデメリットを十分理解して積極的に受けてくださいね。

 

定期的に歯科検診を受けるメリット

①口腔内の病気の早期発見と予防

定期的な歯科検診では虫歯や歯周病をはじめ、詰め物、かぶせ物、入れ歯の不具合を発見して早期に対応して大事にいたらないようにします。まれに口腔がんを発症しても早期に発見して専門機関へ診断を依頼することができます。いずれにしても早期に問題を見つけることで、治療が簡単に済み、治療費も抑えることができます。

また、予防処置や予防のための管理をすることで問題の発生を防ぐことができます。

②口腔内の清掃と清潔維持

定期検診では、歯科衛生士と専用器具による専門的なクリーニングが行われ歯石や歯垢が除去されるので、虫歯や歯周病の予防、口臭の発生の予防につながります。また、着色も取れるのでホワイトニングの効果もあります。

③補綴物の維持と外傷の予防

歯に被せたかぶせ物、ブリッジ、入れ歯はかみ合わせを支えている人工物です。使うときに強い力がかかるので、外れかかっていないか、かみ合わせに問題がないか、入れ歯であれば合わなくなってきていないかを確認します。特にかぶせ物や入れ歯を支えている歯に何かあると、そのままにしておくと歯が割れたり、冠が脱離したりして取り返しのつかない事態になります。そのため冠や被せている歯、入れ歯の鉤歯に不具合がないか、適正な咬合がかかっているかを調べ、かみ合わせの調整をしていき、歯を守っていきます

④全身の健康に対する影響

メタボリックドミノでお伝えしましたが、口腔の健康は全身の健康に対して密接に関係して大きな影響をもたらします。代表的なのは糖尿病で、歯周病とお互い悪影響を及ぼしあっています。歯周病は全身に血液を介在して歯周病菌が広がり心、脳血管疾患、早産、認知症などのリスクを高めてしまいます。

最近の研究では口腔内の細菌が胃を通過して口腔内の悪い菌叢が腸内の細菌叢にも影響を与えてしまうことがわかってきました。定期検診を受けることで口腔内がきれいになり、これらのリスクを減らすことができます。

⑤食事や会話への影響

歯や歯茎に問題が生じると、歯に力がかけられず十分に咬むことができなかったり、発音に影響がでることがあります。これは日常生活の質に大きな影響を与えてしまします。そうならないように定期的な検診で口腔内の状態を確認して適切なケアを受けることが重要です。

⑥治療計画が立てられる

歯科定期検診をしている人は、個々の口腔に応じた治療計画を立てることが可能です。これで将来的な問題を計画的に効率よく対応することができ、健康を維持するための最適な口腔ケアを受けることが可能となります。

 

それでは、今度は定期検診を受けないことによるデメリットについて解説しましょう。

定期検診を受けないことのデメリット

①虫歯や歯周病の見逃しや悪化

定期検診をはじめ、歯科検診を受けないでいると初期の虫歯や歯周病の発見や再発を見逃してしまいます。そうなると病状が悪化して簡単な治療で済まなくなり、治療期間がかかったり費用がかさんだり、虫歯や歯周病が高度に進み最悪抜歯になってしまうこともあります。また、それでも放置を続けると副鼻腔炎や顎骨骨髄炎など重篤な合併症になることもあります。

②治療費の増加

歯医者が嫌いな人ほど定期検診をお勧めします。なぜなら定期検診は痛みや恐怖、不快感を伴わず気持ちよく受けることができます。さらに虫歯があっても小さいので麻酔注射することなく無痛で小さく削ってすぐ詰める治療で完了してしまいます。これが虫歯が進行すると麻酔をしたうえで大きく削ったり、痛みが生じている場合は歯の神経をとる治療まで行わなければならなくなり、費用と時間がかかります。歯周病も同様に進行すると治療期間が延びて治療内容も大変になるだけでなく、悪い歯を抜いてなくなった歯の部分をブリッジやインプラントを入れることになり治し方ではとても高額な費用がかかってしまいます。

③口腔内の不快な症状の出現や審美性の低下

歯科検診をしばらくしないと汚れや着色がたまり、口腔内の審美性の低下や口臭の発生、歯肉の出血など不快な症状が現れやすくなります。セルフケアではしばらくたつと歯の汚れがこびりついて歯が黄ばんできたり、歯茎が炎症を起こし始めて出血しやすくなります。

④全身への健康に対する悪影響

口腔の健康状態の悪化で、前述のメタボリックドミノが倒れ全身の健康にも悪影響を及ぼしていきます。特に歯周病を引き起こす歯周病菌の中でもレッドコンプレックスというPG菌TD菌TF菌が増加すると血液を介して全身に菌が廻り、脳・心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患、認知症などのリスクを高める可能性があります。歯科検診を受けずに口腔内の問題を放置するとこれらの全身疾患を引き起こすリスクが高まります。

⑤口腔がんの見逃し

これが一番怖いことです。歯周病や歯茎や顎が腫れたと思っていたが実は口腔がんであることがあります。歯科で発見できれば早期発見につながります。口腔がんも不適なかぶせ物や、虫歯や歯が欠けて放置してそれが粘膜や舌を刺激して口腔がんを引き起こすこともあるので、歯科検診は欠かせないと思いませんか?

 

以上、歯科検診を受けるメリット、受けないデメリットをお伝えしました。

当医院では治療が済んだ方に通常3か月ごとに定期検診にお呼びして、1時間くらいかけて歯科衛生士が歯肉の状態、清掃状態をチェックしてクリーニングを行います。私のほうでは虫歯等前回から変化がないか、治療が必要なところのチェック、経過観察部位のチェック、咬合のチェックと調整を行って次回の定期検診の間隔や治療を提案します。定期検診は皆さんの健康を守るのに不可欠です。

歯医者嫌いな人ほど定期検診をまめに受けることをお勧めします!みなさま、是非ご賛同ください!