こどもの口腔機能について⑧

Food allergy. Allergic food on wooden background.

皆さま、コロナも格下げされていよいよ日常が戻ってきましたね。お元気に過ごしていますか?
今回も前回の続きとなりますが、まずアレルギーについてお話したいと思います。

噛む食育はなんとアレルギー対策になる

アレルギーは現在ではない人を探すほうが難しくなっているほど多いですよね。
しかし、私が子供だった頃はそれほど多くなかったような気がします。アトピーなんて聞いたことありませんでした。
なぜアレルギーの事を取り上げたかというと、噛む食育はなんとアレルギー対策になるのです!
アレルギーの種類は、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症、金属アレルギー、薬のアレルギーなどがあります。
アレルギーとはある特定の物質に対して人体の免疫システムが過剰に反応したときに起きる現象です。
先ほど触れたように、アトピー性皮膚炎は70年前にはなんと10000人に1人だったのが、50年前には1000人に1人、現在は3人に1人だそうです。私の息子は3人いますが、そのうちの2人がアトピー性皮膚炎を発症しました。まったく珍しくありませんね。
これはどういうことなのでしょうか。遺伝なのでしょうか。
実は遺伝情報が書き変わるのに6000年かかるそうです。アトピーは遺伝ではありません。
ではアレルギーの原因は何でしょうか。どうして近年になって増えてきたのでしょうか。
昔は自然界にあるものしか存在しなかったのですが、科学の発達によりいろいろな人工的に合成された物質が使用されるようになってきました。それが人体に接触または取り込まれるようになって、それがアレルギー発症の増加の原因になっております。
具体的には食品添加物、農薬、化学物質、花粉、食物などがあります。薬もそうですね。
効率性や、保存性を求めてきた結果ですね。便利になった分弊害も出てきたということでしょう。
これらの原因物質が人体に入ると、有害物質なので体を守るために人体は防衛反応を起こして有害物質を退治しようとします。(具体的には細胞内のミトコンドリアから過剰の活性酸素が発生)これが細胞を傷つけてヒスタミンという物質を発生してアレルギーを引き起こします。
そのため、アレルギーの発症を抑えるためには、余分な活性酸素をなくすことが第一歩です。活性酸素は怖いです。活性酸素はDNAを傷つけるのです。当然ガンの発生率が上がることになります。つまりアレルギー対策はがん予防にもなるのです。
それでは具体的な方法について述べましょう。

アレルギーに対する基本的な対策

アレルギーに対する基本的な対策は4つあります。

  1. 行き過ぎた衛生管理をやめること
  2. 化学物質を避ける(砂糖、食品添加物、加工品、農薬など)
  3. 腸内環境を整える(食物繊維、発酵食品)
  4. 良くかむ(唾液で活性酸素を除去する)

①の行き過ぎた衛生管理をやめるということはどういうことかというと、小児期の細菌暴露(細菌に触れさせること)は大事なことだということです。衛生的すぎる環境ではアレルギーが増加します。子供たちをたくさん外遊びをさせると良いでしょう。私たちの世代ではまだ良く外遊びをしていたものです。外遊びをすることでばい菌に触れさせ、免疫力を高めるのです。
②の化学物質を避けるには具体的にはどうするのでしょうか。
食品添加物を避ける方法を教えましょう。
食品には食品原材料が表示されたラベルが貼ってありますね。
ここをよく読んでください。
原材料名の表示の中に/(スラッシュ)が入っています。その/以降に記されたものが食品添加物です。
ソーセージを例に見てもらいます。

加熱食肉製品と記され、名称は無塩せきソーセージ
次に原材料名が記され、

豚肉、豚脂肪、鶏肉、結着材料(でん粉、大豆たん白)、食塩、豚コラーゲン、還元みずあめ、香辛料、砂糖、海藻粉末、ポークエキス/調味料(アミノ酸等)、(一部に牛肉・大豆・鶏肉・豚肉を含む)
と書いてありますね。/(スラッシュ)は見つかりましたか?
そうです!ポークエキスと調味料の間にあります。ということは調味料(アミノ酸等)が食品添加物になります。
このように、食品に何が入っているか良く確かめて、なるべく/(スラッシュ)を含んでいない食品を選んでください。食品添加物は活性酸素を発生させます。
でもいちいち面倒ですよね。加工品の中で食品添加物が無いのを探すのは大変で、私の経験では食品添加物の入っていない食品はかなり価格が割高だと思います。
でも、食品添加物の入っていない食品のジャンルがあります。それは生鮮直品です。これは食品添加物の入る余地がありません。どんどん食卓に出しましょう。
また、発酵食品も良いです。中に含まれている酵素が良い働きをしてくれます。後述します。
おやつについてです。みなさん勘違いされていると思いますが、そもそもおやつはお菓子を与えるものではありません。一日3回の食事で栄養を取れない子供に4回5回に分けて食事の代わりに与えるものです。食事の残りや、別の食べ物を与えてみましょう。

マクガバン・レポートについて

ここで食習慣について大変興味深い報告についてご紹介します。
皆さん、マクガバン・レポートという話を聞いたことはありますか?
マクガバン・レポートとは、1970年後半にアメリカの上院議員のマクガバン氏がアメリカの連邦政府、議会に提出した一連のレポートのことです。この中で「食習慣を変えない限り、肥満人口が増え、多くの国民がガンを発症し、その結果国民医療費の増大により国家は破産する」と警告しました。
このレポートに当時の政府は衝撃を受け、国民の食生活を変えるための努力、すなわち「食育」政策を始めました。
マクバガンが主張するのはアレルギーやガン、脳卒中、心臓病は職が原因でもっとも理想的な食事は元禄時代以前の日本の食事=和食だそうです。なぜ元禄時代以前なのでしょうか。それは元禄時代には精米技術が発達し、白米を食べるようになったからです。お米は精白することで、胚芽に含まれるビタミン、酵素、ミネラル、食物繊維といった貴重な栄養素が失われます。
結局は栄養的に優れている玄米を主食にしていたころの和食が理想的な食事で、精白しない穀類を主食とした季節の野菜や海草や小さな魚介類といった内容です。
栄養素の話はわかりましたが、ほかに和食の何が良いのでしょうか。発酵食品も同じ理由でよいとされています。
それは酵素が出てくるからです。
酵素の働きは
①食べ物の消化、吸収
②解毒作用(デトックス)=農薬、添加物、活性酸素の分解除去
③腸内環境を整える=免疫力のアップ
これは体内で作られる酵素と同じ効果があります
また、野菜にはファイトケミカルという色素やにおい成分が含まれています。(ポリフェノール、ベータカロチン、リコピンなど)
これの働きは
①抗酸化作用(ガン、アレルギー予防)
②解毒作用
③免疫力アップ
などがあります。
ただしファイトケミカルは熱に弱いのです。生野菜を電子レンジにかけてしまうとなんとファイトケミカルの97%が破壊されてしまうそうです。
できるだけ生野菜で食べてください。
最後に唾液の働きについてお話します。
唾液は良くかむことで分泌されます。
唾液の役割は、唾液に含まれる成分で
①虫歯、歯周病予防
②消化を助ける
③消毒作用
④食塊形成
⑤抗ガン、抗アレルギー作用
⑥感染症予防
⑦脳の成長因子
などの働きがあります。
なので良く噛んで、唾液を出して、活性酸素を除去するのがアレルギー対策としてとっても有効です。
また、母乳にも活性酸素消去能力のある成分が含まれており、一方牛乳にはまったく含まれていないので母乳も大切だということも知っておいてください。