子供の口と呼吸・お顔の関係

笑顔の子供

皆さま、いかがお過ごしですか?受験も本番で、受験生をお持ちのご家庭はこれからしばらく忙しくなり大変ですね。

頑張ってください!

さて、それではこの前のお話の続きを致します。

今回は子供の口と呼吸、お顔の話しを中心にします。いかに美しい顔を作っていくか、それと呼吸は影響しあっていて、姿勢の問題にもつながっているということのお話です。

まず最初に、あなたはお子さんをお持ちですか?夜しっかり眠れているでしょうか。

以下の項目をチェックしてみてください

  • いびきをかく
  • 睡眠中に呼吸が止まる
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 日中眠そうにしている
  • 疲れやすく、運動ができない
  • 朝、なかなか起きることが出来ない

このようなことはなかったでしょうか。もしそうならいい呼吸ができていないのかもしれません。

子供なのにいびきをかく、上を向いてねむれないような状態ですと、将来睡眠時無呼吸症候群になりやすいそうです。注意してください。また、呼吸が悪いと起きているときでも影響があります。良い呼吸ができないということは取り入れる酸素量が少ないということになります。

これはどういうことかというとわかりやすく表現すると、車でいうと排気量というのはご存知ですか?性能の良い、パワーのあるエンジンを積んでいる車なのに排気量が少ないと十分な性能を発揮できません。呼吸が悪いということは5000CCの排気量があるのに3000CC分の働きしかでないということです。

酸素を十分取り込めないと本来持っている能力を発揮できず、パフォーマンスが落ちるということです。普通乗用車が軽の自動車に、さらにいうとベンツなどの高級車が普通車並みになってしまうということです。非常にもったいないことですね。

それではいびきをかく子供の口の中はどうなっているのでしょうか。

まず、狭い口腔になっていませんか?前歯がガタガタに並んでいる叢生という歯列不正になっていませんか?

次に奥歯のかみ合わせに注目しましょう。小学生になると生えてくる上下6番目の歯(第一大臼歯)のかみ合わせで下の6番目の歯が上の6番目の歯よりも半分前に出て噛み合わせる位置、又は上の犬歯が下の3番目の歯(犬歯)と4番目の歯(第一小臼歯)の間に位置するかみ合わせをⅠ級のかみ合わせといい、正しい基準となるかみ合わせです。これが下あごが基準より後ろに下がって噛みあうⅡ級と基準より前に出てくる噛み合わせのⅢ級というものがあります。

Ⅱ級は顎が下がるので出っ歯に見えやすく、口の中が非常に狭いです。Ⅲ級は下顎が前に出るのですが、こちらもⅠ級と比べて口の中が狭いです。

それでは呼吸しやすい顔とはどんな顔でしょうか。この問題は上顎骨の成長方向が大きくかかわっています。また、それは正常に顔を発育させるのに大事なことで、美しい顔になることとつながっています。

人間の印象は目や、鼻、口などそれぞれのパーツそのものでなく、それの配置によって決まるそうです。そういえば、目元や鼻の形が良くても鼻の下が伸びていたり、きれいな口元なのに目が寄りすぎたり、離れすぎていて全体の印象が台無しになっている人はいませんか?

また、口元も人の印象にとって非常に大事で、どんなに美しい顔でも、歯並びがガタガタだったり、みっともない冠が入っていて笑うと目立つようですと台無しです。
欧米人が美しい歯並びを作るために一生懸命になっているのもわかりますね。

先ほども触れましたが、美しい顔を作るのに非常に重要なのが、上顎骨の正常な成長(発育量と成長方向)です。上あごを構成する上顎骨と下あごを構成する下顎骨は成長のスパートの時期が違って、成長がストップする時期も違います。

スキャモンの成長曲線というのをご存知でしょうか。

ヒトは生まれてから成人(20歳)するまでの過程で、身長や臓器が大きく成長していきますが、その成長具合をグラフで示したものがスキャモンの発育曲線です。

スキャモンの発育曲線では、20歳時点での発育を100(%)としたときの成長パターンを

  • 一般型
  • 神経型
  • 生殖型
  • リンパ型

の4つに分類して表現しています。上顎骨はどれに当てはまるか分かりますか?上顎骨の上には何が乗っているでしょうか?

ズバリ、脳ですよね。脳は上の4つの項目のうちどれに近いでしょうか。

神経系ですよね。神経系の成長は早く、6歳くらいで80%の成長をしてしまいます。その脳の容器として上顎骨も脳の成長に合わせて成長していかなければなりません。これを考えるとわかりませんか?そうです。上顎骨は神経系の成長パターンです。そのため、上顎骨を正しく成長させようと思ったら、早くから取り組まなければなりません。

これに対し、下顎骨は骨格の成長と一致します。つまり一般形でスパートの時期はありますが、成人するまでおおむね成長を続ることがあります。ただし、男女でも差があり一般的に女性は14歳、男性は17歳までは成長を続けます。

この理由で、当院では歯が生えてきてから成長期までは反対咬合を見かけたら上顎の発育を観察しています。反対咬合は下顎の歯が上顎の歯に覆いかぶさって上顎を包み込んでしまうので、上顎の成長を妨げてしまいます。下顎骨の成長は、上顎骨の成長が止まってもまだまだ続くので下顎の前歯に叢生があっても、下顎を拡大することで上顎の成長を邪魔してしまうこともあるので、上顎の劣成長を認めたらあえて下顎の治療をしないで上顎骨、上顎歯列弓の治療を優先させることもあります。

上顎骨の成長について詳しく解説しましょう。

上顎骨の成長方向の違いで顔立ちに違いが生じます。上顎骨が前上方に発育するか、前下方に落ちるかで全然違います。
正常な発育と美しい顔の上顎骨の成長方向は前上方です。そのように正しく成長していくと顔が美しいだけでなく、生命力が強い顔とも言えます。

それはなぜかというと、口の中が広く、舌のおさまりも良く酸素を取り入れやすく健康になりやすいからです。また、美しいい顔というのは、外側から観察すると顔が短く、横から見ると頭の前後が長い欧米人のような顔と言われています。顔のパーツが中心に集まっています。噛み合わせの咬合平面も緩やかになっています。

講義では女優の広瀬すずさんをモデルに紹介されておりました。”広瀬すず 顔の特徴”でググってみてください。

それでは今度は良くない顔はどういうことでしょうか。
上顎骨が前下方に成長した顔ですね。これは顔が下方向に伸び、顔が長くなり、横から見て頭の前後が短くなり、顔の成長方向が乱れてしまっています。顔のパーツも配置が乱れてしまいます。

また、良くない顔は下顎が後方回転しています。そうなると舌が下の奥に引っ張りこまれて、上顎を押せなくなり、上顎骨が前下方に落ちやすくなります。そしてさらに口腔内が狭くなり、下あごを前に出せなくなってかみ合わせがⅡ級になりやすくなります。

理想の矯正としてはこの下顎の後方回転を改善して前方回転するようにします。これには正しい姿勢、呼吸法が重要になってきます。あまり難しく考えなくてもいいです。矯正は最後の手段で、基本的には自分の力で正しく成長していくのが本来の治療です。鼻呼吸をいつもするようにして、もし鼻に問題があれば耳鼻科さんで鼻の通りを良くしてもらい鼻呼吸を意識して行い、口をいつも閉じておくこと、姿勢をよくすること、前歯を使ってよく噛んで食べることを守って、必ず節目ごとに歯科健診をすることでかなり予防できます。

繰り返しますが何かおかしいと思ったら、必ず歯科を受診してください。治療に適切な時期があるので、永久歯が生えそろってくるまで様子をみましょうということを信用しないでください。

美しい顔は万国共通で、上顎骨が前方成長していて呼吸がしやすい顔です。成長期までに治しておかないと外科整形でないと治せなくなってしまします。どうぞご理解ください。