子どもの歯列・咬み合わせの変化

札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。

 

さて、前回からの続きで今回で最終回です。

 

第2世代はどうして現れたのでしょうか。

乳前歯を使って噛んでいるとその刺激で歯槽骨が添加されていきます。そうすると上顎骨や下顎の歯槽骨が前方に広がっていき歯槽骨のアーチが広くなり結果として歯並びに余裕ができてすきっ歯になります。

上顎骨が十分に成長しないと2番目の歯(側切歯)の生える場所がなくなり、後ろに下がって口蓋側が膨れてくるので歯の健診で口蓋が膨れていると歯並びが悪くなることがわかります。

噛むことと同様に大事なのは舌の働きです。飲み込むときに舌が切歯乳頭という前歯の裏側近くの位置に触れ飲み込むと同時に前歯の裏側の骨を強く押す力が働き歯槽骨が前方へ添加されます。

舌尖がこの切歯乳頭のスポットに付きそこを始点に舌が広がり上顎のアーチが完成します。歯は舌の側縁に沿って並んでいきます。

ちょっとイメージが難しいかもしれませんが、舌は内側から口腔を押し広げていく役割を持っています。

このように噛むことと飲み込むことが正しくできていれば歯槽骨、上顎骨が成長して余裕ができて乳前歯に隙間ができます。

第2世代の子はこれが上手にできなくなってきたようです。昔は食卓に水はなく。食事中に飲んだら行儀が悪いと言われていたそうです。食べ終わってからお茶を飲むのが習慣でした。

しかしファストフードも出てきて柔らかい食べ物が増えていきました。学校給食も離乳食のような仕様になってきました。ひどい表現をすると水洗式咀嚼というような流し込み食べの食べ方もみられました。ちなみにサンドウィッチに耳がつくと噛む回数は1.5倍、焼くと1.8倍、耳付きを焼くと2倍に増えるそうです。よく噛むことが推奨されます。

 

さらに時代が進むと過蓋咬合という第3世代の子が出てきました。

過蓋咬合とは奥歯の高さが不十分でかみ合わせが低くなり、下の歯が上の前歯に隠されて見えずらくなっている状態の歯並びです。

この過蓋咬合は発音に影響を与えます。もともと口が深く閉ざされているので、大きな声を出すためにさらに大きく口を開けなければなりません。お祭りやカラオケや合唱などでたくさん大きく口を開けて発声した後に若年性顎関節症として顎が痛くなることがあります。はっきりした発音をするのに負荷がかかるのです。

また、過蓋咬合は下顎が後ろにあり気道がせまくなり、空気の通りが悪くなりいびきをかいたりします。9歳では脳が90%まで発達しており、脳は全体の酸素の20%も使うので脳の発達に悪影響を与えかねません。

ではどうすればよいでしょう。昔の縄文人は前歯が上下くっついて重ならない切端咬合だったそうです。弥生人は少し上下の重なりがあったそうです。

前歯で肉を引きちぎり、奥歯で咀嚼していたので切端咬合になっていました。前歯の役割は包丁で、奥歯の役割はうすです。舌は食べ物が奥に行くのを止めています。前歯と奥歯を両方使って食べるようになると改善が期待できます。

 

最後に第4世代です。これは下顎後退位といって下顎全体が後退しています。これは姿勢の問題で体が普段から前のめりになっていると下顎が後退します。姿勢をよくするためには体幹を鍛えることが一番です。

 

このように食べ物の問題、咀嚼の問題、姿勢の問題などさまざまな要因で子供の歯列が変わってきます。

生まれてから適切な時期に必要な機能を正しく獲得すること、正しく食事をさせることが重要なのではないでしょうか。

 

我々歯科医師がサポートいたしますので、ご相談いただくか、定期健診を受けていただけるとよろしいかと存じます。当院ではしっかりサポートいたします。