奥歯の虫歯と欠損について

皆様、お元気ですか?いい季節になりましたね。
ところで、私は日本床矯正研究会の北海道東北地区の評議員をしておりまして、床矯正の普及活動に取り組んでおります。この度、札幌で床矯正の症例の発表をして、他の先生方と勉強会を行います。

今後もこのような活動をして床矯正の文化を広めていきたいと思います。

今回はよくある治療において起きた事例を紹介します。

もともと歯の欠損が多く、奥歯で噛む場所が少なかった方ですが、初診時に片側の下の最後に残された奥歯が割れて動いていたのを、抜きたくないということでやむを得ず接着剤で固定してもたせてダメになるまで使おうということになりました。
嘔吐反射が強く、奥歯の型をとったり入れ歯を入れることが難しいという問題がありました。

反対側の奥歯に虫歯があり、しみてきたので被せ物で治療しました。
無理に固定して残していた奥歯が残念ながら腫れて痛みが出てきたので抜いてしまいました。ここからが大変です。
もう奥歯で噛むところは左下の奥歯しかありません。ここは虫歯の治療済みでしたが、だんだん痛みが出てきました。なるべく他のところも使って噛むようにしてもらった方が良いのですが、難しいようです。唯一の奥歯なのでどうしてもそこばかり使ってしまうようです。
そうなるとそこに力が集中して外傷を受けたようになり、腫れたり痛くなってきてしまいます。そのまま症状が悪化して痛みを取るために歯の神経を取る治療に移行してしまいました。

またここからが大変です。通常は歯の神経を取る治療をしている歯は安静にするために歯を削って歯の高さを落とし、対合の歯と噛まないようにします。そうしないと症状が出やすいのです。歯の神経を取ると虫歯からくる歯の神経の感染によっておこる歯の痛みが取れ、何もしないでいる時の痛みはほぼなくなります。一方で歯の神経を取るということは歯の根元の部分で神経線維を針で切断するということで、切断された面は傷になります。

普通傷ついたところは触らないようにしますよね。ましてや圧迫するようなことはしませんね。治療中の歯を噛ませるということは傷口に負荷を与えることになり、歯と骨をつなぐ歯根膜という靭帯に炎症を起こしてしまいます。いちどこれが起こってしまうとなかなか治らないことがあります。

この患者さんは、他の場所で噛むことが難しかったのでやむを得ず治療中の歯で噛めるようにしていましたが、悪いほうの結果が出て痛くて噛めず、流動食のようなものしか取れないと訴えてきました。困りました。

仕方なく隣の歯と接着剤で固定して、噛み合わせをやや落として負荷が減るようにし、炎症が取れるよう根管の中をよく洗浄しました。しばらくして痛みが取れてきました。まずは一安心です。しかし、他の部分でも噛むことができなければ大変なことになります。入れ歯が難しいとインプラントの選択になります。

いずれにしても、歯の欠損が進んで適切な処置を受けていないと後で大変なことになります。歯はとっても大事ですので、日ごろのケアと定期健診の受診を欠かさないようにしましょう。