お菓子でむし歯になりやすい?

札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。

皆様、甘いお菓子を好んで食べると虫歯になりやすいと聞いたことがありませんか?

子供は甘いお菓子が大好きですよね。こんな話を聞くと子供にお菓子を与えるのは良くないと思ってしまいますね。でも、おやつは子供にとって楽しい時間。コミュニケーションの大事なツールです。また、活発に動き回る子供にとって大事なエネルギー補給。見た目や味でいろいろな発見があり、好奇心を育てるのにも大きく役立ち、友達をつくるのに欠かせないものです。正しい知識をもって、約束事を守れば怖いことはありません。

是非参考にされてください。

 

まず、虫歯とは何でしょうか。口の中に虫歯菌がいて暴れて悪さをするイメージがありますね。お菓子から栄養を得て活発になり、歯を溶かして虫歯になるというのが想像されるでしょう。半分合っています。

実は虫歯でなくても歯は溶けます。歯はカルシウムやリン酸などのミネラル成分から構成されています。ミクロの世界ではこれらは唾液を介して常に溶けだしたり、元に戻ることを繰り返しています。口の中の酸性度(PH)が高い(酸性)の時はカルシウムが溶けだし(脱灰)、低い(アルカリ性)の場合はカルシウムが歯に戻ります(再石灰)。つまり口の中のPHの濃度により虫歯になるかどうか左右されます。

 

それでは口の中のPHは何に影響されるのでしょうか。虫歯菌がかかわっているのは正解です。ただしこれは二次的な要因です。飲んだり食べたりすると直後に必ずPH値の低下が起こり、歯のカルシウムが溶けだします。飲食後に唾液の働きでPH値は上昇し、カルシウムが溶けださない中性へと近づきます。さらにPH値が上昇してアルカリ性になると再石灰化が始まり歯が修復されます。つまりPH5.5を境にしてカルシウムが溶けだすかどうか決まります。詳しくはステファンカーブということに詳しく記されているのでご参照ください。ですので、虫歯を作らない条件はまず、PHが5.5以下になる時間を短くしてPHが5.5以上の時間を長くすることです。

そのためには

① 飲食の回数を減らす(おやつの時間と回数を決めてだらだらと食べないようにする)

② PHの低い食べ物の飲食に注意して、直後にPHの高いお茶、牛乳、水などを含んで中和する。歯を磨く

*酸性度が高い食物は、コーラ、ジュース、酢、スポーツドリンク、フルーツなどいろいろあるので調べてみてください

また、個人的な歯の強さ、唾液の力(緩衝能力)も関係しますので、フッ素塗布をお勧めします。これはフッ素を塗ることでフルオロアパタイトという歯を強化する構造に置き換えることができるからです。

虫歯菌がかかわる虫歯は、まず虫歯菌がないと発生しないので、虫歯菌を減らすことが重要です。これは虫歯菌の感染を防ぐこと(他人からうつらないよう箸などの使いまわしをしない。虫歯菌に栄養を与えない(砂糖の摂取を控える。キシリトールなど虫歯の栄養にならない食品に代える)。虫歯菌を定着させない(粘着性の高いお菓子に注意。歯磨きをしっかり行う)ことをあげておきます。

 

また、寝る前の飲食は要注意です。寝ているときは唾液の出が悪くなり、飲食したあとのPHが低いままになりカルシウムが溶けだす時間が長くなり虫歯に移行する可能性が高くなります。どうしても飲食してしまったら直後に牛乳やお茶で中和するようにしましょう。

これらの注意を守っておやつの時間を楽しみましょう。