札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。
皆さま、お元気ですか?
先日東京まで出張し、有名な小児歯科の先生のリアルセミナーに参加してきました。
非常に面白い内容で、とても勉強になりました。
皆さんにもお伝えしたいと思います。
口腔の予防が健康寿命を伸ばす
もう、歯医者は悪いところを取って詰めたり被せることを主な業務にする時代は完全に過ぎ去りました。
すでに予防の時代に入っておりますが、これからは赤ちゃんの時期から関わって、究極の予防として健全な顔、口腔、歯並びの育成をして正しい口腔の機能と歯並びを獲得して虫歯や歯周病のなど口腔内の病気の発生を防ぎ、しっかりと咬めることに一生関わり平均寿命だけでなく健康寿命を伸ばすことが求められていきます。
人間はどうやって命をつないでいくのでしょうか。まず、呼吸しないと生きていけないですよね。後述しますが、呼吸と姿勢、歯並びは密接に関係して影響を受けています。
次に飲む必要があります。その次に噛む必要があります。皆さんはあれっ、飲むことも噛むことも一緒じゃないか!と思う人もいると思います。しかし、これは分けなければなりません。獲得する順番と時期の問題があるからです。
食育の観点から見る学校給食について
学校給食のあるお子さんをお持ちの方、お子さんの給食の内容についてご存知ですか?最近は食物アレルギーの問題もあり、かなり慎重に調理され、栄養についても十分に考えられていると思いますが、食育という観点ではどうでしょうか。
ある本州の給食のメニューを拝見しましたが、老人施設の食事?と勘違いするような内容でした。ほぼ、噛む必要がないような流動食に近いものでした。なぜこうなるのでしょうか。
食品による子どもの窒息事故の例
以前、学校給食にうずらの卵が出たときに、のどに詰まらせ死亡した子供がいて、それ以来学校給食にうずらの卵は出なくなったそうです。
その後の国の対応です。食品による窒息事故防止のため“食品を小さく切り、食べやすい大きさにして食べさせる”ことを推奨しています。
問題は食品の大きさでしょうか。
母子手帳には赤ちゃんの最大の開口の大きさは38mm(トイレットペーパーの芯の大きさ)で、それより小さなものは誤飲の恐れがあるので目の前に置かないようにしましょうと記されているそうです。しかし食べ物は小さく切ってくださいとされています。ちょっと矛盾していないでしょうか。
良く噛んで食べないからこういうことが起こると考えます。もしかしたら良く噛んで食べることができないのかもしれません。
さらに良く噛んで食べることを知らない、又はその方法を知らないのかもしれません。
たとえば保育所に入った子どもが初めてのお食事の時に泣き出してしまったそうです。周りの子は自分で食べることができたのに、その子はお母さんがすべて食べ物を口の中へ運んでくれたので、自分でやったことがなくどうしたら良いかわからなくなって泣き出したそうです。
生きるために必要な口腔成長のステップ
では、人間はどうやって物を食べるのでしょうか?
実は人間は生きるために必要な機能から獲得していくのです。
その順番は
①嚥下(飲み込むこと)
②捕食(食べ物をつかみ取り口の中へ入れること)
③咀嚼(食べ物を噛み砕くこと)
となっていて、通常は③の咀嚼ばかり話題になり重要視されています。
しかし、噛むことは最後に獲得する段階なのです。
赤ちゃんの口の中の状態は、4つの段階に分かれます。
第1段階=無歯期(歯が生える前。0歳~約6ヶ月)
第2段階=前歯期(前歯が生える時期。約6ヶ月~1歳6ヶ月)
第3段階=奥歯期(奥歯を使いだす時期。約1歳6ヶ月~2歳)
第4段階=完成期(咀嚼ができる段階。約2歳~)
これはとても意味があることです。
第1段階の無歯期は母乳の段階です。ここで歯があったら大変ですよね。ですから前歯は6ヶ月にならないと生えてこないのです。そのため早すぎるとおっぱいが飲めず、遅すぎると食べられないのです。
この辺のことは次回またじっくりお話ししましょう。
どうですか。興味ありましたか?