皆さま、寒い日が続いておりますがお元気ですか。
現在私は「小児口腔機能育成」というセミナーを学んでおりまして、その知識を生かし現代の子供に対し健康な口腔の育成に携わり、健康な人生を送れるような助けになりたいと望んでおります。
そこで学んだことを皆様にもお知らせしたいと思い、ブログに書かせていただきます。
以前のブログにも触れておりますが、現代の子供が抱えている大きな問題は何でしょう。もう虫歯ではないですよね。歯並びが悪い事のほうが多いのではないでしょうか。
では、なぜ歯並びが悪くなるのでしょう。いろいろな要因がありますが、直接の原因は口が狭いことです。歯が正しく生える場所が不足しているためにガタガタの歯並びになってしまいます。
では口が狭いことによる影響は他にもないでしょうか。
大いにあります!それは何でしょう。
ズバリ!呼吸です!
口が狭いと舌の置き場所がなくなり、後方に下がって気道が狭くなります。
呼吸がどういう影響を与えるかというと、これは寿命にかかわることです。
無くなる直前の方は、舌の筋肉が衰えてしまい、舌が下がり、気道をふさいでしまって呼吸ができなくなりほどなく亡くなってしまうそうです。
また、呼吸に対して問題となってきているのが睡眠時無呼吸症です。
睡眠時無呼吸症は生存率の低下をもたらします。
無呼吸症で酸欠の状態になり、いびきをかいたり、朝起きたときの頭痛、起きているときの慢性的な眠気、慢性的な疲労、イライラした状態、集中力の低下などの症状が起きます。
そしてそれは体の負担となって高血圧、心臓病、不整脈、心筋梗塞、糖尿病を引き起こす原因となります。
無呼吸症候群としての合併症として心筋梗塞、脳血管障害が4倍、心臓冠動脈障害が3倍、高血圧が2倍の確率に跳ね上がります。
睡眠時無呼吸症はいかに危険な状況かお判りになりましたか?
では、睡眠時無呼吸症はどうして発症するのでしょうか。
これは遅かれ早かれ誰でもなるそうです。
原因は舌による気道閉塞です。口が狭いと舌が喉の奥に押し込まれ発症しやすくなります。そして舌の筋肉が衰えると舌が喉の奥に落ちます。これは加齢により誰でも舌の筋肉が衰えてしまいます。特に50歳くらいで舌の筋肉が落ち、仰向けで寝ると舌が下方に落ち込み気道をふさぐようになると言われています。
これを防ぐためには近年クローズアップされたオーラルフレイル(口腔の衰え)の診断と対策がまず挙げられます。体の衰えはまず口元から起きると言われていて、医科からも注目されています。
オーラルフレイルと診断されると、衰えた部分の筋肉を鍛えるプログラムがあるのでこれを実行していきます。
もう一つの対策は最初に触れました口腔機能育成です。口腔機能を発育期から正しく育て、広い口腔を作り出し、舌の機能を鍛えて正しく機能させ、舌の筋肉が衰えて呼吸に影響が出てくるまでの余力を十分に備えておくということです。発症してからでは遅いということですね。
睡眠の話しに戻ります。
平成25年の調査で睡眠に課題がある人はなんと69.3%に上るそうです。
なぜ、睡眠に課題がある人が増えたのでしょうか。
それは現代では歩かなくなった。噛まなくなったということです。
世の中は便利になり、あまり歩かなくても良くなりました。最近はコロナの影響でお家にこもりさらに歩かなくなった人も多いでしょう。
また、現代人は昔に比べて食事する際の噛む回数が激減しています。
飛鳥時代の人は一回の食事に4000回くらい噛んでいたそうです。鎌倉時代になると2600回、江戸時代になると1500回とだんだん減ってきております。現代はと言うとなんと620回で、飛鳥時代の6分の一強、江戸時代の2.5分の1程度まで減ってしまいました。理想は一食あたり1500回以上とされ、江戸時代の食事方法までさかのぼらなければなりません。
運動不足で骨格の発育不全が起き、噛まないことで歯槽骨の発育不全が起き、歯牙の
萌出が不完全になり、歯の高さが乱れたり、上顎の歯列弓のアーチが狭くなったり、下の奥歯が内側に傾くことで下顎の歯列弓も狭くなり、上下の高さも減り、口腔の容積が減ってしまいます。
このような仕組みで口の中が狭くなると舌が落ち、呼吸しやすくするために下顎が後方回転します。さらに舌が後方に落ちやすくなり、下顎を前に出しづらくなり、この悪循環の口腔環境が睡眠時の呼吸環境に悪影響を与えていることがわかりました。
では、睡眠時無呼吸症の治療はどうするのでしょう。
1つは酸素吸入です。
もう一つは歯型を取ってマウスピースを作り、睡眠時に口の中にはめて寝るスリープスプリント療法です。これは睡眠時に下顎が落ち込んで、舌が後方に落ち込むのを防ぐのに使用します。これは寝ている時にを前方の位置に固定するおが目的です。下顎を前のほうで噛んでもらいその位置を記録します。その噛み合わせの位置を再現したスプリント(口の中にはめるマウスピース)を作り、寝ているときにはめることで下顎の落ち込みを防止し、舌の落ち込みも防止して楽に呼吸ができるようにするものです。
お医者さんから睡眠時無呼吸症という診断を受け、治療用のスリープスプリントを作ってくださいと文書で依頼を受けると保険で歯科でスリープスプリントを作ることができます。歯科の診断だけでは保険でできません。必ず医科の診断と治療の依頼がないと保険で作れないのでご注意ください。
ただしこの2つの治療法は問題があります。酸素吸入を日常的に行うと、肺の能力が衰えてしまいます。スリープスリントも本来生体が持っている舌根や軟口蓋の沈下で気道が閉塞すると下顎を前に出して気道を確保する生命反射を衰えさせかねません。
人間は機能を使わないでいると廃用性萎縮という本来働くはずの機能が衰えてしまうという副作用が生じてしまいます。
このように呼吸ができないと非常に困ったことになります。
さらにかみ合わせと顎関節に与える影響という観点で呼吸の問題を見てみましょう。
まず、このユーチューブをご覧になってください
いかがですか?
解説いたします。
まず、健康な口腔内では鼻から酸素を取り入れております。その肺へ至る通り道の途中の喉の奥の場所に咽頭という部分があります。そこに炎症が起きると腫れて鼻の通りが悪くなり口呼吸になります。
そうなると舌の位置が下がります。そうすると舌が上顎に付かなくなり、頬粘膜に押されて上顎の歯列弓がV字型になり狭くなります。さらに舌のおさまりが悪くなって舌が上下の歯と歯の間に入り込んできて飲み込みが悪くなります。
また歯並びは舌に押されて臼歯部が圧下され低くなり前歯だけが強く当たるようになります。そして下顎の歯並びが凸凹になり噛むために下顎が後ろに下がります。そうなると顎の関節が後上方に突き上げられ関節の円盤が前方に落ち込み顎関節症が発症します。そしていろいろな筋肉が緊張して頭痛などの原因となります。歯を合わせようとして歯ぎしりの悪習慣も起きます。
また、下顎が後ろに下がるので気道が狭くなり仰向けで寝ると苦しくなるので歯ぎしりをします。さらに下顎を前に出そうとしてまた歯ぎしりをします。
やがて歯が咬耗して咬合高径が下がってさらに気道が狭くなって呼吸をするために頭部を前に傾けていわゆる猫背やストレートネックという姿勢が悪い状態になり、首の後ろが痛くなります。
鼻呼吸ができなくなるだけでこのような変化が生じてしまいます。
続きはまたにしましょう。