小児の矯正について

小児の矯正

札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。

皆様、暑い日が続きますがお変わりありませんか?

今回も矯正のお話の続きです。

 

前回は矯正の治療法の大きな流れについて、方法について触れました。

今回は矯正の中でも小児の矯正についてお話しします。

 

いわゆる歯列不正には大きく分類して、

 

叢生

上顎前突

開咬

下顎前突

 

と4つに分類できます。

これらはほとんど乳歯が永久歯に生え変わる学童期までに発症します。

 

①叢生とは前歯が重なってきれいに並んでいない状態です。

前歯のスペース不足が原因です。最近は乳歯列でも珍しくありません。

 

永久歯の生え変わりは前歯から始まります。

そのときに歯が収まる十分なスペースがないと歯が重なってまたは曲がって生えてきて叢生という歯列不正が発生します。

 

②上顎前突とはいわゆる出っ歯です。上の前歯が出ているように見えている状態です。

これには上の前歯が傾いて出ている状態と、下のあご全体が後退して上の前歯が出て見える状態に大きく分けられます。

 

前者は口のしまりが悪く、口が開きっぱなしの状態が多く、舌が前方に突き出て前歯を押した結果なるケースです。

 

歯は十分なスペースがあると、唇の外側からかかる力、舌の内側から押す力、咬合による力の3つの影響を受け、バランスの取れたところに並んでいきます。

 

したがって舌の押す力が強く口を閉じる力が弱いと発症します。ひどくなると次にふれる開咬という歯列不正の状態になります。

 

後者は噛み癖や(前歯を使って噛まない奥噛みの状態)下あごを押し付ける癖などがあると、下あごが下がった状態が定着して2級一類という奥歯のかみ合わせが後ろに下がっていることによる見かけの出っ歯という状態です。

 

これは上の前歯のスペース不足で2番目の前歯が後ろに下がってしまってそこに下の前歯が引っかかり結果として下あごが前に出れないということもあります。

 

③開咬とは上下の前歯がかみ合わなく、上下の前歯の重なりがまったくない状態です。

ひどい場合は一番奥の歯だけかみ合い、残りの歯がすべてかみ合わず、上下の隙間ができているひともいます。

 

これは口を閉じる力や習慣が足りず、さらに舌が悪さして開いた前歯のすきまに入り込み開咬を悪化させます

 

④下顎前突とは、下の前歯が6本以上の前歯よりかみ合わせが前に出ている状態です。

放置すると機能的にも見た目にも非常に深刻な問題になります。一番早く見つけて対処していかなければなりません。

 

機能性→歯生→骨格性の問題へと重症化していきます。

 

早い人は1歳を過ぎて上下の前歯が生えそろった状態から下顎前突が始まります。

歯の位置が悪いのではなくて,下あごが前に出る癖があると発症しやすいです。

 

泣いている時の子供は顎が前に出ていませんか?泣き虫だと反対咬合が起きやすいとも言えます。

 

これらは機能性の反対咬合です。

 

そして、乳歯の糸切り歯が出てきたときに下あごの位置が改善されないと上下の乳歯の糸切り歯同士が引っかかり反対咬合の噛み合わせが定着します。

 

永久歯は先行乳歯の位置をたどって生えてきますので、永久歯列でも反対咬合になる確率が高まります。

 

永久歯が生えて反対咬合になっているとこれは歯の位置の問題となり、歯性の反対咬合となります。

 

これが改善されず放置すると、骨格の二次成長期に入り、下あごが過成長して骨格性の反対咬合に移行します。

 

こうなると歯を抜いて見かけの正常咬合にするか、顎を外科的に一部切除して治すか方法がなくなり取り返しが付かなくなります。

 

また、反対咬合は歯列不正の中で一番注意しなければならない問題です。

 

後述しますが舌の問題や、呼吸の問題が悪化させる要因になります。上顎前突や叢生は比較的治療しやすく、深刻な審美障害になるのは稀ですが、開咬や反対咬合は治すのが難しく、見た目の問題が大きく、有名人やお笑いタレントのネタになる程です。

 

この他、永久歯の先天欠如という問題もあります。

最近はまったく珍しくありません。

最新のデータでは10~7人に1人永久歯の先天欠如が見られます。

同じクラスに数人は永久歯が足りない子供がいます。

 

そのほか永久歯の位置異常があります。

出てくる場所が異常だったり、特に上の糸切り歯(犬歯)に多いのですが、横向きになってしまって埋伏したまま出てこないこともあります。

 

最近良く見受けられるのが顎が小さい子供が増えてきているのか、第二大臼歯という中学生になってから生えてくる一番奥の歯(親知らず=智歯は全員が正常に生えてくるわけでなく、噛む機能をはたしていないので、第二大臼歯を正常な一番奥の歯列と考えます)が、親知らずのように傾いて生えてきて手前の歯に引っかかって正常に萌出できなかったり外側又は内側に傾いて上の歯とかみ合わなかったりするのをよく見かけます。

 

①~④の歯列不正、異所萌出、先天欠如、臼歯の傾斜という問題は早期発見、早期治療、早期対策でほぼ歯を抜くことなく正常歯列に誘導または矯正する事が可能です。

 

ですので、良くお子様の口の中を観察してください。

 

新しい歯が生えてきた、乳歯が抜けたというタイミングがチャンスです。

 

できるだけ歯科医院を気軽に訪れ早期発見に努めてください。

私は子供の歯並びを正しく育成すること、美しい顔に成長させることに全力をつくします。

 

歯並びは虫歯、歯周病、食べること、歯を長持ちさせることすべてに影響を与えます。顔貌にも大きくかかわっており、もっと言うと幸せな人生をおくることに大きな影響を与えています。

 

外国の方には日本人のイメージで悪いところは歯並びが悪く、口がくさいことにあります。

 

日本の歴代の総理大臣やアスリートの口元をよく観察して、外国の方と比べてみてください。

 

幼少期から永久歯列に交換するまでしっかり歯並びを治す文化ができていなかったのです。

 

放置するとお金がかかりますが、治すことに十分価値があります。

早期の対応をするとお金もあまりかかりません。

 

よろしければ当院にお気軽にご相談ください。

 

次回は矯正治療のタイミング、治療法についてお話しします。