シリウス山の手歯科院長の島貫です。
いつもブログを見てくださりありがとうございます。
このブログは皆様に私の考え方をよく理解していただけるよう、歯科医療の現場を知っていただけるよう、私の本音で記事を書かせていただいております。
記事更新のスピードアップのために、私の記憶にとどめている内容や数字をそのまま使用して、誤りがないかという検証を省くことがありますので、事実とやや異なることがございます。
大きな誤りが判明して訂正が必要な場合は後ほど訂正した内容を再掲出いたしますので、ご了承ください。
今回は矯正についてお話いたします。
皆様、歯の矯正ってどういうイメージをお持ちですか?
歯に金具と針金がついているイメージでみるからに痛そうですね。
実は本当に痛いです。
なぜかというと歯が動くためには歯の周囲の硬い骨、歯槽硬板という骨を一度壊さなければなりません。
そのために歯に一定以上の力を加え続ける必要があり、その力に慣れるまで、最初のうちは痛いのです。皆様、どうして硬い骨の中を自在に歯が動けるか不思議ではありませんか?
人の体はすべての部分はわかりませんが、細胞が置き換わる新陳代謝が常に起こっています。
とくに口の中はその活動は活発で口の中の傷も他の場所より早く治ります。
骨は固いので置き換わるイメージがないのですがその成分のカルシウムが約3年ですべて置き換わっています。
骨を溶かして壊す破骨細胞が活動すると骨が吸収され、今度はそこに骨を再製する骨芽細胞が集まってきて骨を再生していきます。
矯正による歯の移動はこの働きを人為的に起こして、動かしたいところに動かすものです。
広く行われている一般的な歯の矯正は歯を動かす隙間を作って(どうやって作るかが問題です)歯の理想的な歯並びの位置を記憶させた形状記憶合金の針金を歯に固定し歯に持続的な力をかけて上記の作用で歯を理想的な位置に動かしていくものです。
最近は他の矯正方法も開発され、矯正が目立たない方法、楽にできる方法も出て、選択肢が拡がってきています。当院では後述しますが、大きく分けて
・床矯正
・ブラケット矯正
・マウスピース矯正
を行っております。
せっかくですので矯正に関する当院の歴史からお話していきたいと思います。
当院は当初(20年前琴似でシリウス歯科クリニックとして開業しました。)歯の矯正は行っておらず、虫歯治療と歯周病の治療をメインに診療を行っておりました。矯正に関してはむしろ否定的でした。
私は平成4年に北海道大学を卒業して、大学の臨床系の教室に残ることを希望しました。
矯正も興味があったのですが、歯を抜いて針金を曲げるというイメージしか持てず、歯を抜くという選択がいやで歯周病学を専門に行っている講座に入局して5年間在籍して研修したのち開業医のもとで診療しました。
矯正の専門医では虫歯の治療や歯の抜歯を行わないところが多く、その治療を依頼されて矯正の治療を受けた患者さんの口をみると、歯はまあきれいに並んでいるのですが、歯と歯の間に隙間ができていたり、上の歯と下の歯が噛みあっていなかったりしてやはり歯の矯正というものにますます疑問が出てきました。
しかし、矯正が必要な人を何とかしなければならないので、すべて紹介で送っておりました。
歯並びの異常は主に永久歯の生え変わりが始まる6歳くらいから始まります。
下の前歯と上の前歯が生え変わってきて狭いと叢生(そうせい)という歯が重なった歯列不正となり
上下の歯が反対に噛みあうと交差咬合という将来反対咬合に移行する可能性が高くなります。
自分で開業してから、自分でできることをやってみました。咬合斜面板といって傾斜をつけたプレートを上の歯列に装着するもので、歯が生えてきた早期の治療で有効となります。
これで済めば解決なのですが、そもそも歯列不正を起こすということは口腔内の機能が悪く、歯が十分に並びだけ口の中が成長していない場合が多いのと、口唇や舌を正しく使うことができず、正しい位置に歯を並べることができない場合も多く、歯の生え変わりが進むと新たな問題が生じてしまいます。
それを解決する方法がまだ私にはありませんでした。
せっかく歯の生え変わりの早い時期に来てくれたのに何もできず、抜歯矯正になってしまうのかと悩みました。そのとき床矯正という手法があることを知りました。
矯正という手法に疑問を持つ私にとって180度考えを転換させるものでした。
この続きは次回お話しします。