年代別お口の注意点②

札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です

 

先日の「年代別お口のご注意点」の記事の続きです。

 

成人以降注意することは、虫歯と歯周病です。虫歯のリスクは若年期の虫歯になりやすい時期を過ぎると老年期まであまり変わりません、一方、歯周病は年齢とともにリスクは上がっていきます。両方のリスクの結果年齢が進むと歯がだんだん失われていきます。

成人以降で問題となるのは、歯並びの不良による清掃の困難さと噛み合わせの不良による力に起因するさまざまな障害です。

 

まず、歯並びが悪いときれいに磨くことが困難です。歯並びが凸凹しているので、歯の磨き方が1本1本ずつその歯の出っ張り具合に応じて歯を磨いていかなければなりません。これがうまくいかないと、虫歯になるか、歯石がついて歯周病になります。なので、リスクが高い人になるので、歯科医院を定期的に受診してさまざまなチェックと予防処置、専門的な清掃が必須となります。

さらにかみ合わせが悪く、歯に適切な力がかからない状況ですと、噛み合わせのチェック、定期的な咬合調整が必要となります。これがうまくいかないと将来的な歯の残存歯数に大きな差として現れていきます。

虫歯はよほど放置したままだったり、不幸にも歯が割れてしまったりするとその歯を保存できなくなることがありますが、成人以降では歯を失う最大の原因は歯周病です。それ以外の要因は虫歯で、特に早期に永久歯に虫歯を作った場合、ほとんど6歳臼歯ですが、歯の神経を早期に抜かれ寿命が短くなってしまいます。なのでよく見かけるのが6番の歯が抜かれて、5番と7番を使ったブリッジです。

歯周病は長い年月をかけて進行していきます。成人の80%がかかっている怖い感染症です。成人病と同じである程度進行したものは完治しません。治りやすい歯周病もあり早期治療で完治することもできますが、だいたい無症状のうち進行してくるので、定期的に歯のチェックで歯科医院を受診する人とそうでない人では明らかに差が出ます。歯周病は虫歯と違い、痛みとして感じることは少なく、歯茎から血が出る、講口臭が気になるということが、歯周病のサインです。ここでしっかり歯科医院を受診して、定期検診を続ける人と放置する人では、歯の残存率は数倍異なってきます。また、糖尿病にかかっていたり、かみ合わせでしっかり支える場所が無い場合、歯周病は急速に進行します。

さらに、歯周病菌は心臓病、脳梗塞、認知症、早産など、さまざまな全身疾患に関与しているということがわかってきました。特に糖尿病ではお互いに影響を及ぼしあって、重症化しやすいということがわかってきました。しっかり噛めるということが、寝たきりや認知症の予防になることも良く知られるようになりました。歯周病の予防は成人において重要です。

ただし、一番の予防は歯並びを良くしておくことで、成人になるまで歯並びの育成管理、成人後では歯の矯正で正しい歯並びの育成、矯正で正しておき、清掃しやすい状態にすること、噛む力の最適な状態にすることが一番の予防だと思います。汚れがつきにくいかぶせ物の選択や噛み合わせの正常化がとても大事です。老年期にむけていかに歯を残しておくかが非常に大事です。なんともなくとも定期的に歯科医院を受診されることお勧めします。

 

老年期では唾液の量が減り、再び虫歯のリスクが高まります。昔と違って今度は歯の根元に虫歯を作りやすくなります。さらに、口腔のさまざまな機能に衰えが生じてきてオーラルフレイルという状態になってきます。これは寝たきりの状態に一番早いサインとして知られています。老化の第一歩は口の機能から始まります。

例えば食べ物の食べこぼしが増えてきた、むせるようになった、しゃべりづらくなってきた、食事に時間がかかるようになってきたなど、口の機能の衰えがわかりやすく、筋機能の訓練などで衰えの予防が可能です。歯科医院でオーラルフレイルの検査ができます。歯の本数が減り、かみ合わせをしっかり維持することも重要ですので、痛いところがなくとも歯科医院を受診してしっかり噛める口の中を維持しましょう。

筋力を落とさないためにも肉類の接種がお年寄りでも重要だとわかってきました。そのようなものを美味しく頂けるように噛み合わせの治療をして自分に合った入れ歯を入れることが大事です。寝たきりになった時のことを考えて、再治療にならないよう、自費のかぶせ物が入れられれば理想的です。人生は永いので、できるだけ良いものを入れていただけると最高です。

あとは噛み癖に注意しましょう。隔たって噛んだり、必要以上に力を使って噛むことが無いようにしていただければ安心です。