乳幼児の「食べる」機能について

皆様お元気ですか?今回は前回の「食べる機能」の続きです。

人間は生きるために必要な機能から獲得していくと触れました。その順番は①嚥下→②捕食→③咀嚼です。

乳幼児の口の中の成長過程

また、口の中の状態は無歯期→前歯期→奥歯期→完成期と変化していきます。

第一段階の無歯期は歯が生える前で母乳を飲むのに必要な状況です。この時期は歯がありませんが、口唇と舌を使って食べていて、舌を鍛える時期でもあります。それをしっかりとやっていないと歯が生えても噛めるわけではないのです。

出生後約半年で前歯が生えて来て第二段階の前歯期に移行します。

前歯があるので前歯を使ってかじりとる時期です。

その後奥歯が生えて来て第三段階の奥歯期に移行します。奥歯を使い始める時期です

さらに奥歯でしっかりと噛めて咀嚼ができる時期が第四段階の完成期となります。

このように咀嚼は獲得する最後の段階です。

咀嚼には口唇・舌の発達が不可欠

咀嚼ができるような口の中になっても口唇、舌の機能が準備できていなければ一人前に咀嚼することができません。

咀嚼に必要な口唇

幼稚園児の口元を観察すると問題点が見えてきます。ある幼稚園での調査です。

幼稚園児の約3割が口が日ごろから開いていました。

噛んでいるときに口の中に食べ物が見える子は約3割いました。

食べているときぺちゃぺちゃ音がする子は約2割いました。

この中で食べるのが遅い子は10人に1人でした。

また、ローソクの火をフゥーでなくハーで消そうとする子、うがいができない、息を止められない子も見受けられました。

これらは家庭で保護者に食べさせてもらっている子で、食べ物を手に持たせることから教えなければなりません。

乳歯列期は前歯の歯の長さが短いので口唇の閉鎖力が小さくてもゴックンできます。

それが永久歯に生え変わり前歯の長さが長くなると上の口唇が伸びず口が閉じないので下口唇を巻き込むようになり、上の口唇はどんどん短くなり、下の口唇は伸びてしまいます。

口唇の対策

この対策は食べ物をスプーンに乗せ口の前に持って行って口唇で取らそうとしてもらうことです。そして口唇が伸びていったら舌も伸び、口唇が丸くなると舌も丸くなり舌筋も発達していきます。

飲み物を飲むときもストローは使わずに口唇を使って飲ませるようにしましょう。そうしないと熱いものが飲めません。

咀嚼に必要な舌

次は舌の動きについてお話しします。

舌は上あご(口蓋)にくついているのが正しい位置です。歯が生える前の赤ちゃんを観察すると舌が上あごにくっついています。そしてその時は鼻呼吸をしている時です。舌を口蓋から離すとこんどは口が開きます。ということは口が開く原因は舌筋が弱い(発達不全)とういことも考えられます。

また、いびきは舌が口蓋にあたっていない状態です。あごが下がって気道も狭くなってしまっています。

鼻呼吸の必要性

次に鼻と鼻呼吸についてお話しします。

北海道では冬の寒いときに口を開けたら肺が痛くなります。肺は寒さにも乾燥にも弱いです。鼻呼吸は天然のマスクで口を閉じたら肺への侵入経路は鼻だけになり3~5μmの粒子の80%の侵入をカットしてくれます。

また、鼻腔の毛細血管の働きで、マイナス以下の外気も急速にあたため暖かい空気に変えて肺に送り届けます。私たちの健康に鼻呼吸は欠かせません。

口腔機能の発達に歯がためを

皆さん歯がためはご存知ですか?乳幼児の口腔機能の発達のために適した道具です。

手でつかみ口唇を使う練習となり、くわえると鼻呼吸になります。ちゅぱちゅぱしゃぶることで舌筋が発達して唾液の分泌量がアップして口唇閉鎖力もアップして嚥下力もアップします。よく使うことで表情筋も発達して表情が豊かになります。よく食べることができると脂肪が筋肉に置き換わりお兄ちゃんの顔になります。一方食べるのが下手な子は赤ちゃん顔です。小さな子がいらっしゃれば、ぜひ活用してみてください。ちなみにモンゴルでは羊のしっぽを歯固めに使うそうです。