明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
今回は、歯が抜けたらどうなるの?どうすればよいの?のお話しをしましょう。
まずは、歯が抜けないようにいろんなリスクを避け、大事にしていかなければなりません。最大のリスクは歯周病と虫歯です。さらに歯ぎしりや噛みしめの歯にかかる力のリスクが加わります。
症状が出現してからでは手遅れになることが多いのが現実です。ぜひ定期検診をうけ、さまざまなリスクから歯を守ってください。
それでは、皆さんにお聞きします。あなたの歯はどのくらいの価値がありますか。健康な歯なら、1本おいくらでしょうか。
ピンときませんか?
では、質問を変えます。あなたの一番大切な歯を抜かせていただけませんか?いくらお支払いすればよろしいでしょうか。
どうですか?OKが出た金額があなたの歯の価値です。
お金に変えられないという人もいらっしゃるでしょう。一般的には交通事故などで歯を失ったときに支払われる保険金が歯の値段の参考になるでしょう。
では、その大事な歯が不幸にも失われてしまったらあなたはどうしますか?
成人は智歯をのぞいて28本の歯があります。そのうちの1本がなくなっても27本あるから何もしなくていいと思う方もたくさんいると思います。
では歯が抜けてそのままにしておくとどうなると思いますか?
矯正の話にもありましたが、歯は動けるスペースがあると移動していきます。歯が1本無くなるということは、こう考えるとわかりやすいでしょう。
電車の満員の長椅子にあなたが座っていたとします。お隣とはぴったりとくっついています。隣の人が立ち上がって出ていきました。すぐに席が空くのを待っていた人が座りました。
また、ぴったりとお隣さんがいるので動けないですよね。もし、すぐに座ってくる人がいなければあなたはどうしますか?座ってくる人のことを考えなければ、少し動いて隣と窮屈な関係を解消しませんか?
歯でも同じことが起きます。ただし、最初は歯の全体が移動するのではなくて、隙間ができた方向に歯が傾いていきます。
さらに時間をかけて歯根も移動して隣と完全な隙間ができてしまいます。
この現象を利用して8番目の歯である親知らずが正常な場合、7番目の歯が保存不能で抜かなければならない時、近心に寄ってきて7番目の歯の代用とすることもあります。
では、抜けた歯とかみ合っていた対合の歯はどうなるでしょう。
歯は歯根膜という骨と歯をつないでいるバネの上に乗っていて歯に力がかかるとバネが抵抗して支えます。歯は自身にかかる力と歯根膜から反発する力のバランスの取れた高さの位置で安定しています。
負荷がかかりすぎる場合歯の動揺や歯茎の腫れ、歯周ポケットの増加、知覚過敏、咬合痛、違和感などさまざまな問題を引き起こすので、当院では噛み合わせのチェックと随時咬合調整を行って管理しています。
歯が抜けると対合の歯は噛み合わせの力を受けなくなり歯根膜が伸びて歯がやがて浮き上がってきます。さらに放置するとかみ合うところを求めてさらに伸びていき歯列がでこぼこになります。
極端な例では対合の歯の欠損した歯茎に触れるまで伸びてきます。
このように歯が一本失っただけで放置すると周囲の歯に悪影響を与えます。問題は歯が傾いて噛んだ時に歯根に正しい力がかからなくなり、歯列も乱れてきて咀嚼運動をすると引っかかるところが出てきて障害となります。
そのまま欠損部を補綴しようとするといい条件で入れられなくなります。
歯の欠損が数本にわたると歯列の乱れはさらに悪化していきさらに虫歯、歯周病、咬合性外傷などが重なってさらに歯を失っていくという悪循環になり、栄養不足、口腔内の衛生不良にもつながり、全身の健康を蝕む要因になっていきます。
では、今度はどういった治療をしていくのかを次回お話しします