札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。
皆さまお元気ですか。
今回は虫歯の話をしたいと思います。
虫歯は以前に比べ大幅に減ってきているようです。
特に子供の虫歯に関しては私が子供だった頃に比べて激減しているようです。
これは皆さまの虫歯に対する意識が高まったのと、私ども医療機関の努力や啓蒙活動や予防の取り組みの浸透におけるものと考えます。
当医院は乳幼児健診と学校健診(中学校)にかかわっており、明らかに歯の実質欠損を伴う虫歯は見かけるのはかなり少ないです。今後もこの傾向は続くと考えられます。
虫歯の出来方は以前お話ししましたが、ガンがⅠ期からⅣ期まで分類されるように虫歯はCO,C1,C2,C3,C4に軽い順から分類されます。
これは何かというと、
CO-昔はこの分類はありませんでした。主に歯の白濁や、歯の溝の変色など歯に明らかに穴が開いていない虫歯の初期状態をさします。きちんと管理すると虫歯が停止したり、修復されて正常に戻る可能性があります。学校健診ではこの判定は多いです
C1-固い歯の再外層のエナメル質に限局した虫歯です。あまり症状は出なく、大人であれば進行はあまり早くありません。削らず経過観察することもあります。
C2-エナメル質の層を突破して、さらに内部の象牙質に虫歯が達した状態です。ここまでくるとしみる、違和感がある、飲食すると痛いなどの症状が出始めます。
C3-虫歯が歯の神経の層まで達し、歯髄が感染してしまっている状況です。ここまで来ると、激しい痛みを伴うことが多く、歯の神経を除去する治療が必要となります。
C4-さらに虫歯を放置すると歯冠が崩壊して歯槽骨の中に残された歯の根があるだけの状態になります。ここまで放置してしまうと、歯を残せるか、抜くかという選択になります。歯の交換期の歯根の吸収された乳歯もこの病名が付きます。
治療法について
それぞれの虫歯の段階でどのような治療法が選択で来るかをお伝えいたします。
CO-これは不可逆的な虫歯ではありません。フッ素や歯磨き、口腔内の環境を整えることで再石灰化し、虫歯が停止したり歯の表面が修復される可能性があるので、フッ素塗布や歯の溝を埋めるシーラントを施し経過観察していきます
C1-これはまだ浅く固いエナメル質の固い層にとどまっています。COと同様に経過観察することもありますが、CRという歯と同じ色をした充填剤で虫歯を取り除いた部分に詰めるだけで済みます。麻酔も必要がないことも多いです
C2-これはエナメル質の層を貫通してその内部の象牙質という領域に虫歯が達した状態です。象牙質はエナメル質より柔らかく、虫歯に対する防御が弱く進行が早くなります。
痛みを感じる部位でもあり、早急な治療が望まれます。
虫歯を完全に取り除く必要があり、深いところは裏層という神経に対する刺激を防御する防壁をはり、その上をCRという光をあてて硬化する歯の色と同じになる充填剤で修復するか、型をとって部分的な冠をかぶせる治療になります。治療が遅れて虫歯が深く広範囲に拡がるとCRでは無理になり、しみる症状などが残るとC3の治療と同じように歯の神経を取る治療になることもあります。
また、深い虫歯で虫歯を完全に取りきると歯髄まで達する恐れがある場合、20歳以下の成長が続いている人では虫歯を一部残して二次象牙質という防御層ができてから完全に虫歯を取ったり、成人では無症状なら歯髄まで穴が空いた場合MTAセメントという生体親和性の高い裏層材料でふさぐと問題なく治療ができるようになりました。
ですので症状が出る前に治療することが重要です。
C3-ここまでくると虫歯は神経のある層まで達してしまい神経が細菌に感染してしまっております。
非常に激しい症状を引き起こすことが多く、歯の神経を取る治療が必要となります。
しっかり麻酔をして歯髄腔というところまで歯に穴をあけリーマーという針のようなもので根の長さを機械で測りながら慎重に歯の神経を取っていきます。急性症状を起こしている時は炎症が強く麻酔が効きずらく、特に下の奥歯は骨が厚く麻酔が完全に効かない場合が多々あります。
応急処置にとどめることがありますので、ここまで放置すべきではありません。
歯の神経があるほうが歯の寿命が長いのでなるべく残したいのですが、歯の神経は一度感染してしまうと元に戻りません。歯の神経の治療して最終的な薬をしっかりつめてからかぶせ物をして治療が終了となりますので、治療回数、期間が長くなります。
C4-こちらは歯の根っこだけが残り、治療して歯を立てることが不可能な状況です。治療はほとんど抜歯となります。
入れ歯になる場合は根だけ残して残根上の義歯として残す場合もあります。抜いたところを補うのに、両隣の歯を削って支えとするブリッジ。取り外しする入れ歯、人工歯根を埋め込むインプラントという治療になります。
いずれにしても大事で治療に時間とお金がかかります。
以上のことを踏まえると、治療は虫歯のグレードが軽いうちに受診され、軽い治療で終わらせることが大事となります。
また早期発見、早期治療、予防するために定期検診を受けることを推奨いたします。