口腔機能が人の寿命に与える影響

皆さま、夏至の頃になり昼がとっても長いですね。冬が終わったと思ったらあっという間です。真夏のような気温の日もありますので体調にはお気を付けください。

さて、最近のトピックスですが、当院では公式LINEの運用を始めました。

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最近ミラクルデンチャーの問い合わせが増えてきております。

現在ミラクルデンチャーを扱う歯科医院は北海道では11医院余りでとても少ないです。

その中で最近廃院した歯科医院もありその後の対応に困って当院を調べて新しく受診される方もいらっしゃいます。

ミラクルデンチャーは入れ歯の維持装置が画期的で入れ歯が歯と一体化して安定し、入れ歯の大きさも小さく維持装置も目立ちません。入れ歯を入れているのがわからないくらいです。

 

とても快適に使うことが出来るので是非当院にご相談ください。

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もう一つ、大人の矯正についてのお知らせです。

 

今まで当院では大人の矯正で前歯専門の矯正インビザラインGOを取り扱っており、前歯から小臼歯まで合計20本の歯を対象に矯正をして矯正装置のアライナーを最大20枚使用する範囲のマウスピース矯正を行っておりましたが、新たにインビザラインGOプラスをラインナップに加えました。これは矯正の対象に6番目の歯(第一大臼歯)まで加え、合計24本の歯を対象に矯正し、アライナーも最大26枚まで使えることになり、部分矯正の自由度がより高くなりました。

 

さらに矯正専門のこうざと矯正歯科クリニックと提携して、全顎矯正のマウスピース矯正インビザライン並びにデジタルワイヤー矯正のインシグニアという矯正法が使えるようになりました。

印象模型、口腔内写真、2Dのパノラマ写真、3DCT画像を提供することで診断、治療計画、矯正装置の設計をこうざと矯正歯科クリニックに依頼し治療していくので安心して全顎矯正を行うことができます。

是非一度ご相談ください!

 

それでは本題です。

人の寿命に関して口腔の機能が与える影響はどれくらいあると思いますか?

昔と現代では食生活や環境が異なるので順番に解説していきましょう。

 

まず、医療が発達していない時代は人は食事が出来なければ栄養を摂ることができないので、歯がなくなると寿命がきてしまいます。

縄文人など古代の人の時代には今の様に食材も調理法も発展しておりませんでしたので、固い食べ物も硬いまま食べるのが日常だったと思います。

強い力でよく噛んで食べ物を細かくできなければ消化不良となり栄養もとれないので、とても丈夫な歯と顎の筋肉が必要で、顎骨も大きく発達しておりました。親知らずも普通に生えてしっかり噛んでおりました。

この時代は固い食べ物にこすられ歯が磨かれるので虫歯発生の原因となるプラークが付きずらく砂糖もないので虫歯の発生も少なく、また免疫力を下げる生活習慣病も無縁で口腔内に歯周病菌も少なかった可能性もあり、歯周病の発生も少なく、外傷でもなければ歯が失われることはなかったでしょう。

歯は使うとだんだんすり減っていきます。そのため歯がすり減って噛めなくなってしまうとその人の寿命が尽きてしまったと考えられます。

 

時代の変遷とともに、食材や調理法が発達してきて食生活がだんだん変化してきました。

江戸時代ともなると砂糖が大量生産され、手に入れやすくなり庶民に幅広くいきわたっていき、食べ物もやわらかく調理され、虫歯、歯周病の発生が増えていきました。

当時どんな歯の治療をしていたかというとほとんど痛みをおさえる対症療法で、そのあとは歯を抜いていました。当時歯医者はおらず、民間の歯抜き師、入れ歯師が活躍していたようです。

また、江戸時代の歴代の将軍の顎骨を調べると、現代人と同じようなやわらかい食生活を送っていたようでだんだんと顎は細長くなり歯列不正も発生し、顎がどんどん退化してきているのがわかります。時代を先取りしていたのですね。

 

明治時代以降は歯の治療に西洋医学が取り入れられるようになり、虫歯の治療ができるようになりました。

材料はまだ未発達で金属が中心でしたが、虫歯を削って詰めたり被せたりするようになりました。

戦前(昭和20年ころまで)は、まだみんなよく噛んで食べておりました。姿勢も良く、現代の孤食(独りで食事する事)という問題もなく、ちゃぶ台にみんなで座って食事をとってました。お水やお茶はしっかり噛み終わって最後に飲むスタイルで、食べながら飲むことはありませんでした。

さらに乳児には母乳をしっかり飲ませ、現代のように早い時期から離乳食を始めるということもありませんし、哺乳瓶を使った人工ミルクでの授乳もまだ一般的でなく、しっかりと哺乳させるという口腔機能を鍛える機会が十分あったのです。

これらの習慣の喪失が現代の口腔機能低下や顎骨の成長不全に影響していくのです。

この時代の方のあごはまだ十分に発達していて、口の中が広くなっており、歯列不正も少なかったと思われます。

 

その後日本は高度成長期に入り、砂糖が蔓延し、質の悪いお菓子やファストフードも入ってきます。

まず砂糖や砂糖がたっぷり入ったお菓子の摂取が大衆にひろまり、虫歯の洪水と言われる事態になりました。昔、どこの歯医者にも行列ができていたのはこの時期です。

この頃の子供の写真はみな前歯が虫歯で崩壊したいわゆるミソッ歯の状態が一般的でした。でも、まだ歯並びが悪い子は少なかったのです。乳歯列には前歯に隙間があり、上下の前歯のかみ合わせも理想的な切端咬合でした。

虫歯の問題のほうは歯磨きの習慣の徹底、砂糖の制限、キシリトールなど虫歯予防の代替え甘味料の普及、フッ素塗布や虫歯予防の意識の向上でどんどん改善していきました。

しかし食生活はファストフードが広がり早食いや孤食の環境になったりしてよく噛まないで食事する環境が増えてきました。やがて噛むことの刺激不足で顎骨の発育が悪くなってきました。

そして前歯が並ぶスペースが足りなくなって前歯が並ばなくなり叢生という歯列不正が生じ、犬歯が生えるスペースも足りなくて外側に張り出して生えてくる八重歯の状態になることが多くなりました。

そして現在に至るまで発育不全は年々悪化していき、犬歯間のスペース不足の問題がやがて顎の前後のスペース不足の問題になり上顎前突、下顎前突の問題になり、噛みあわせが低くなる上下のスペース不足に発展しています。

こうなると呼吸が困難になり、呼吸を確保するためにいろんな弊害を引き起こします。

これは乳児期の不十分な哺乳の問題から始まり、口腔機能の正しい獲得に失敗すると上あごの成長が阻害され、前歯が正しく並ばなくなり、舌も動かし方や、口の中での正しい位置を学習できないとさらに口腔内が発達できず歯並びや顎の位置や姿勢が悪くなり、気道も狭くなって呼吸するための姿勢をとらなければならなくなりました。もはや食事が出来ないため寿命を迎えるのではなく、呼吸できなくなるため寿命を迎える時代になりました。

最近給食やおやつを子供に与えて食べさせると食物をのどに詰まらせて窒息してしまうという事故を良く耳にしますが、歯科医師の立場ではそれは不幸にも口腔機能の未獲得や発達不全により物を正しく咀嚼して飲み込むことができなかったことに原因があると考えます。老人の問題と似通っていますね。

人は食べられないことで寿命が尽きていましたが、今では呼吸が出来ないことで最終的に死を迎えます。

口腔機能を高めておくと、嚥下(飲み込むこと)や呼吸が出来なくなるまでの期間を遅らせることが出来ますが、口腔機能が低い状態で成人してしまうと、老化して口腔機能が低下してから嚥下や呼吸が出来なくなるまでの期間が短く、すぐ寿命が来てしまいます。

子供のうちに口腔機能を正しく発達させることは寿命に大きく影響を与えるのでぜひ関心を持っていただきたいと思います。

 

引用元:(公社)日本学校歯科医会「それって”口腔機能発達不全症”かも?!」令和7年4月発行