口唇・舌と歯並びの関係

札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。

 

皆様お元気ですか?やっとコロナも落ち着いてきましたね。

ここ暫くいろいろなセミナーをオンライン中心に受けてきました。その中で印象に残ったことをお伝えします。

 

最も学べたのは人は口唇や舌の使い方の機能を学んで獲得してその影響のもとに歯が並んでいくということです。

えば下の前歯が生えてくる前に離乳食を始めてしまうと、反対咬合になりやすいそうです。その理由は前歯がないと舌が突出して食べ物を捉えるかららしいです。下の前歯が生えてくると舌が前歯にあたり上に持ち上がるので舌の動きが良くなるため結果歯並びがまもられるとのことです。

また、つかみ食べをさせないと前歯をうまく使えるようにならないそうです。乳幼児は食事を通して口腔機能の獲得とうまく使えるように練習する時期です。

 

さて、クイズです。

①もし、口唇がなかったら歯並びはどうなるでしょう

②もし、舌がなかったら歯並びはどうなるでしょう

これは後ろの方で回答して説明するので皆様想像してください。

ヒントは歯は抵抗がないと押す力が強うほうへ動いていきます。

 

最近のセミナーで特に注目したのはプレオルソという治療法です。

これはカスタムメイドされたのではなく、既成の柔らかいシリコン素材のマウスピース型矯正装置を利用したものです。

従って型を取る必要がありません。寝ている時は必ず、起きているときは最低1時間装着するだけです。もちろん取り外し可能なので、床装置と同じです。

類似品に固い素材のものもありますが、こちらは加熱して変形させて個別の口の形に適合させていくことができます。

どう働いて矯正していくかというと、装置自体に歯の矯正力はありません。装置はゆるゆるでその中で舌の押す力が働き歯が動いていきます。その一方頬や口唇が排除されますので自分の力で歯並びが整っていくことになります。(バイオセラピー)

当院でもバイオセラピーを推奨しておりまして、それがうまくいかなかった場合、拡大量が大きい場合に治療を補うものとして床装置の使用を考えております。

プレオルソはさらに装着してトレーニングすることで舌の位置を正しい位置に誘導し、口腔周囲筋を鍛えてさまざまな問題を解決できる可能性があります。

今まで、正常な状態を教えて、それに近づけるようバイオセラピーの指導をしていたのが、プレオルソを使用してもっと効率よく確実にトレーニングできそうです。

ただし床装置との併用ができませんので、床装置装着前の使用に限ります。

 

では、クイズの回答です。

 

①もし、口唇がなかったら歯並びはどうなるでしょう

実例として、やけどや外傷で口唇を欠損してしまった方がいらっしゃいます。

口唇の働きを失い、歯列を内方へ押しとどめる力が働きませんから、舌の力で歯列はどんどん外側へ押し出されてしまいます

正解は”歯並びが外側へ拡がっていく”です

 

②もし、舌がなかったら歯並びはどうなるでしょう

実例として無舌症という生まれつき舌が無い方がいらっしゃいます。ネットで検索できますから興味のある方は調べてください。

舌が無いので歯列は口唇の力でどんどん内方へ押し込まれて歯列はぺしゃんこにつぶれてしまいます。舌がどれだけ重要な働きをしているか考えさせられます。

正解は”歯列が内側に押しつぶされる”です

 

今回判明した情報として、舌の口蓋へ押し付ける力が弱いと口蓋を薄い鉄板と考えると口唇の力で口蓋が上方へへこみ、歯列が狭くなり口蓋が高くなります。そのような状態の患者さんを拝見しましたが今まで原因がわかりませんでした。

 

また、よく奥歯が痛くなったり、奥歯から歯がダメになる方の原因の1つがわかりました。

歯には前歯、小臼歯、大臼歯に機能として大きく3つに分けられます。それぞれ役割があって食べる時に前歯は咬断運動(嚙み切る)、小臼歯は粉砕運動(噛み砕く)、大臼歯は臼磨運動(すりつぶす)を行い食物を細かくしてから飲み込みます。大臼歯はうす(臼)なので、歯を悪くする人は大臼歯を臼の機能以上に使い過ぎて、粉砕運動、場合によっては咬断運動も大臼歯に頼っているのではないかと考えられます。どうぞご自身の食事の時の歯の使い方を見直してみてください

 

このように当院は新しい情報、考え方、治療法をアップグレードして反映していきます。

有益なことはその都度ブログにも載せお知らせいたします。

もっと勉強して皆様のお役に立てるよう頑張りますのでよろしくお願いします。