ブラケットとマウスピース

札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。

今回は矯正の話の最終回です

前回は床矯正の話しが中心でした。大人にも応用できますが、基本的に子供の顎の成長を助けて矯正していくため治療する最適な時期があること、それを逃さないで治療すると最も望ましい矯正治療となる事をお話ししました。

 

では次にブラケット矯正のお話をします。

こちらも歴史が長く、大昔は歯に金属のバンドを巻いて、金属のブラケットという針金のガイドとなる部品蝋着または溶接して固定して、針金を曲げて歯のブラケットに固定して、元に戻ろうとする力を治療して矯正しておりました。

見た目も悪く、時間もかかりとても大変だったと思われます。しかし、現在は材料も方法も

進化していて、歯と同じ色のブラケットを歯に直接接着できます。針金も形状記憶合金を使い昔のように複雑に曲げる必要がなくなり、ブラケットとワイヤーを固定するものも専用の細い針金でなく、カラフルなゴムで簡単に固定できるようになりました。

このように、術者も患者も昔より楽にこの方法を使うことができます。

適応は永久歯列がほぼ生えそろってからあとのすべての年齢です。歯が動く隙間と、動いていく場所に骨の支えがあれば針金のガイドにしたがって歯を思ったところへ動かせ、適用範囲の広い標準的な治療法です。最近までほとんどの人がこの治療法で治しています。

長所は固定式なので、確実に矯正力が働きメカニカルな失敗が少なく誰でも安心して矯正することができます。

その反面、取り外しができないので何年もの間ブラケットとワイヤーをつけっぱなしで、見た目や、違和感に我慢をしなければなりません。歯ブラシもすることが必要ですが、磨きずらいのとものがはさまりやすい、虫歯のリスクがあがる、そして歯を動かす隙間が必要でたいていは歯を抜くことを容認しなければなりません。

ただし、必要な隙間と、歯を抜いて得られる隙間は一致しないので、矯正後に歯に隙間が残るということが良く見受けられます。また、ブラケット矯正は歯に手錠をかけるようなものと表現されます。したがって手錠を外すと歯が自由にになり、また勝手な方向へ歯が動いてしまういわゆる後戻りの問題が生じます。そのため後戻りの防止のため前歯を固定したり、歯が動いていかないような取り外しできる装置(保定装置)をずっと入れなければなりません。

ここが床矯正との長所になるところで、床矯正は必要なだけの隙間を作ることができ、閉鎖型で歯を並べた場合は歯がある程度フリーな状態で噛むことによって並べていくので、歯は自然な位置で並んでいくようになり、後戻りがしずらくなります。

ただし、床矯正もブラケット矯正を使うことがあります。著しい歯列不正、位置異常がある場合は隙間を作った後ブラケット矯正で並べたほうがきれいに早く並びます。また、治療開始が遅く、中学生になり床装置を入れたくない場合、なかなか治療が進まない場合、急いで前歯を出したり、歯を並べなくてはならない時など、開始時期が遅く犬歯も治療しなければならない場合、やる気が下がって進まない場合にはブラケット矯正の適用となりますが、お金が余計にかかること、強制的に歯を並べるので後戻りがしやすいデメリットがあります。他に開咬の治療、反対咬合でも使います。

ブラケット矯正は歯が動き始めるまでとても力がかかるので痛みも伴いやすいのですが、当院では床矯正を併用して歯の周りの硬い骨がほどけてから開始することが多いので通常より楽に治療を受けることができます。

 

最後に、最近爆発的なブームとなっているのがマウスピース矯正です。

これは、装置が透明なマウスピース型の矯正装置で床矯正と同じように装置が取り外し可能です。口の中に入れていてもわからず、見た目の問題をクリアし、外して歯磨きも可能です。しかも治療期間が短期です。当院ではインビザラインGOという治療法を採用しています。大臼歯以外の小臼歯から前歯まで限定して矯正します。最長で5か月間で矯正が終了します。

治療開始から終了までの歯が動いていく過程をAIが診断してシュミレーションして、少しずつ歯を動かしたものをマウスピースで再現してそれをはめることで歯を予定の位置に動かしていきます。1週間から10日で次の段階のマウスピースを交換して装着して最大20枚、つまり5か月間の治療期間で終わらせます。この範囲で収まらない症例は適用外となります。歯を抜く症例、奥歯を動かす症例も適用外で、比較的軽い症例のみですがマウスピース矯正は床矯正と相性が良いことがわかりました。どちらも取り外し可能で治療を移行しやすいこと、床矯正で隙間を作り、ある程度歯を動かし、難症例を優しい症例に移行させてマウスピース矯正の適用症例にしてから矯正することも可能です。マウスピース矯正の良いところは、治療のゴールを明確にできることです。AIがビッグデータより最適な歯並びを判断して提案します。それを満足いくところまで修正をして承認すると出来上がりです。とても微妙な歯並びの調整もコンピューター上で調整してそれをマウスピースで再現できるので可能となります。仕上がりがわかっていますのでより安心して治療を受けることができます。AIが進化した現代で可能となった治療法です。

欠点は隙間を作るために歯と歯の間のエナメル質という固い層を最大0.5mmくらい削る必要があることです。虫歯の心配はほとんどありません。歯が細くなるのが嫌な人には難しいかもしれませんがたいてい問題はなく、気軽に診断可能です。当院で症例が進んできたら、後程改めてブログにて特集を組みます。

 

今回矯正のことを集中して連載しましたが、矯正の敷居を低くして身近なものと感じてほしいからです。欧米ましては香港やシンガポールのほうがはるかに矯正している人の割合が高いです。早くから治療すると簡単で費用も安く済み、美しい顔貌を作り上げることができます。気軽に矯正の相談をして、最適な時期を逃さないように、大人になり矯正をためらっている人もぜひご相談されることをお勧めします。

相談会を開催する際にはお気軽にお越しください。