札幌市西区山の手の歯医者「シリウス山の手歯科」院長の島貫です。
今回も矯正の話の続きです。
前回は治療開始の時期についてお話ししました。
今回は治療方法について詳しくお話ししたいと思います。
基本的に歯並びは正しい成長の力が適切にかかっていくと正しい歯ならびにそろっていきます。
これが口を閉じなかったり、よく噛まなかったり、舌の動かし方がおかしかったり、悪習癖があったりすると負の力がかかり歯列は正しい成長ができなくなり、歯列不正が発生します。そうなると矯正力が必要となりますが、当院ではこれを2種類に分けて実践しております。
1つはバイオロジカルな矯正力。前述した口を閉じる、よく噛む、舌の正しい位置を知り、正しい動かし方、使い方を身に着ける、口の周りの筋肉を鍛える、正しい姿勢をとるなど矯正装置を使わずに行える矯正法です。実はこちらがメインの治療です。それで治らない場合に矯正装置を使用したもう一つの矯正力、メカニカルな矯正です。
当院で採用しているのは床装置を使用した床矯正、ブラケットとワイヤーを使用したブラケット(ワイヤー)矯正、マウスピース型の矯正装置を使用したマウスピース矯正があります(インビザラインGO)
それぞれの使い分けについてご説明します。
まずは床矯正。当院の象徴となる矯正法です。当院では子供の成長を利用して出来るだけ歯を抜かない矯正を最大の特徴としています。床矯正学会(JSRO)の北海道地区の評議員でもあります。これは永久歯列の生え変わりから成長が止まるまでの最適な矯正法です。取り外しが効く入れ歯のような装置で一日14時間以上装着するのが理想です。装置にネジ穴がついていて専用の器具でねじを少しずつ巻いていきます。すると床装置が徐々に開いていき結果歯列が拡大した方向に拡がっていきます。
床矯正は必要なだけ歯列を広げることができます。抜歯矯正ですと、必要な分以上のスペースが生じてしまい、隙間が空いた矯正になるケースがよくみられます。
隙間ができたら、閉鎖型という歯をならべる装置(これも取り外しできます)を入れます。閉鎖型はねじを巻く必要がありません。歯を並べるガイドとなる唇側線と内側から歯を押すスプリングからなり、歯をサンドイッチのように唇側線とスプリングではさみこんで理想的な歯並びに仕上げます。永久歯の犬歯が生えてくる9歳から10歳までに治療を終わらせると簡単に早く終えられます。歯列を拡大する装置は最大5~6mmまで拡大可能です。これを約半年間かけて拡大します。最大量拡大しても隙間が不足している場合は装置を再製して拡大を続けます。たとえば8mm拡大が必要であれば拡大装置2個を約1年かけて拡大し、次に半年かけて閉鎖型をいれて歯を並べ1年6か月で矯正が終わる見込みとなります。
ただし、これは治療の約束を守って標準的に治療が進んだ場合です。
床矯正の最大の問題は、取り外しができてしまうので、邪魔になるシーンで外すことができる大きな利点がありますが、反面正しく入れ、必要な時間入れ続け、正しいタイミングで適切な分ねじを巻いていく必要があります。そのため子供によってはどんどん治療が進む子と、なかなか進まない子の差が大きく出ます。外せないブラケット矯正ではこういうことは起きませんが、治療がお手軽な分、自分で治療をしていくという本人と保護者の協力が不可欠です。早くから矯正を始め、どんどん治療が進むと治療期間と装置の数が節約され治療費も節約できます。当院での床矯正の料金は使用する装置の数によって決まります。逆に治療を始める時期が遅かったり、治療する気持ちが弱く、なかなか治療が進まないと治療に飽きてくるし、一年かけても拡大が終わらず、装置が合わなくなり、拡大が終わる前に新しい装置に換えなければならなくなり時間とお金を損します。
また、犬歯が生え変わるまでに前歯を並べるのに失敗すると治療が複雑になり余計に時間とお金がかかります。10歳になると反抗期になり、親の言うことを聞かなくなり、中学校に入るまでに終わらないと忙しくて装置を入れられなくなり、床装置をあきらめてブラケット矯正に移行しなければならなくなります。
できれば7歳のうちに治療開始したいのですが、8歳になってしまうと犬歯が生え変わるまで2年を切ってしまい時間との闘いになります。レントゲンで犬歯の根がどこまで完成しているかを調べることでどのくらい時間が残されているか知ることができます。少なくとも1年以上の猶予が欲しいです。遅すぎることはありませんが、治療が大変になってしまうので、前歯が交換したら、必ず歯科医院を受診して歯並びの健診をしてもらうことが重要です。他の矯正法と違い、床矯正は最も治療に適した時期がありますので逃さないようにしてもらいたいのですが、まだまだ知らない方が多いので、このブログを読んで賛同いただけたら周りの方にお伝えいただくようご協力お願いいたします。
ブラケット矯正、マウスピース矯正は後半として次回お話しします。